新しいジャンルの名前としてmonjeがある

――お二人が出会ったのは、「藝祭」という東京藝大の学園祭だったそうですね。

Kanan 基本的に4年間、美術学部と音楽学部が交わることはないんですけど、唯一あるのが一年生の「藝祭」で。音楽学部と美術学部がごちゃまぜになって、大きいものを作るんです。

森山 発泡スチロールで神輿を作ったんですが、音楽学部2学科と、美術学部2学科の4学科から一つのチームを作るんです。

Kanan 全部で4チームあって、賞をかけて競い合うんですけど、それが「藝祭」の目玉なんです。

森山 神輿作りは美術学部がメインなので、あまり音楽学部の人は参与しないんですけど、僕はもの作りが好きなので、制作にも混ぜてもらいました。

――神輿を作る以外は、どんな役割分担があったんですか。

Kanan 大きく分けると、神輿チーム、衣装の法被を作るチーム、ダンスパフォーマンスチームの3つがあって、神輿を担ぐときに、ダンスパフォーマンスの採点もあるんです。そのときに踊る曲を音楽学部が作って、私はダンス経験があったのでパフォーマーとしてダンスリーダーを務めて、振り付けとダンス指導もやりました。私と森山は、パフォーマンスチームで、メインで動いていた二人でした。

――結果はどうだったんですか?

森山 パフォーマンスで事前に狙っていたオーディエンス賞をいただきました。成功体験として印象に残っています。

――お二人は「藝祭」を通じて仲良くなったんですか?

森山 そうです。サークル活動とかと違って、徹夜もしなきゃいけないし、人間の嫌な部分も見えてくるし、「藝祭」のもの作りは苦しいんですよ。でも、全てをさらけ出して一緒にもの作りができるのは貴重な機会で。

Kanan そこで自分をさらけ出した者同士が友達になっていくんです。

森山 心の友みたいなね。

Kanan 最初は飲みに行ったり、ライブを観に行ったり、普通の大学生活を送っていたんですけど、芸祭が終わった翌年にコロナ禍があって、オンライン授業になったんです。そのときに私の学部で、映像の課題が出て、MV(ミュージックビデオ)を作ることになって。その課題を森山にも手伝ってもらって、できた曲が「Heya」という後にmonjeでリリースした曲でした。

森山 制作を始める前から歌もので行こうというのは決まっていたよね。

Kanan MVなら、既存の曲じゃないほうが面白いよねってことで、それまで私は歌詞を書いた経験もなかったんですけど、コロナ禍というしんどい時期をリアルに表現するというテーマでものを作りたいと言った記憶があります。それで森山に曲をもらって、私が詞を書いて、MVを作ったら、めっちゃ教授に褒められたんですよ。それで調子に乗って、「じゃあSpotifyに曲を上げようか」みたいな流れでmonjeが始まりました。

――よくある「バンド組もうぜ!」みたいな流れじゃないのが面白いですよね。

森山 バンドとかじゃなくてmonjeを作りたかったというか、新しいジャンルの名前としてmonjeがあるというのが、しっくりくる表現かもしれないです。

――今後、大学で学んだ表現方法も継続していくのでしょうか。

森山 そうですね。折を見てというか、ミックスしつつという気持ちは強くあります。

Kanan 理想としては、もの作りが好きな者同士が集まっているので、音楽を主軸にしながら、音楽以外のクリエイティブも混ぜて活動していきたいです。

森山 具体的な例を挙げるとライブですよね。音楽だけじゃない表現をミックスしたライブをしていきたいなと。

Kanan 音楽以外の表現も同時に披露したいですね。

――まさに5月18日に1stワンマンライブ 「monje 第一公園」を開催します。

Kanan 会場のMusic Hall & Bar BAROOMは私のリクエストなんですが、ライブをやっていく中で、演者とお客さんの間に線があるのが嫌だったんですよ。ステージが上にあって、下にお客さんがいて、ちょっと距離があるって学校の授業みたいで疑問を感じていたんですよね。もちろん私自身、ライブに行くのも大好きですし、それがダメということではないんですが、自分のパフォーマンスのスタイルや、monjeの表現としては、今までのライブという枠組みにとらわれずにできる会場がいいなと。Music Hall & Bar BAROOMは円形で、お客さんとの距離も近いので、新しい表現ができるんじゃないかなと思ったんです。

森山 今回は舞台美術も自作しようと考えています。物量が多いときは大学時代の友達に手伝ってもらうかもしれませんが、自分で手を動かすのが好きなので、なるべくmonjeだけで作りたいですね。

Kanan 二人とも溶接ができますから!(笑)。

――monjeの曲からは想像もつかないです(笑)。

森山 もしかしたら舞台美術はめちゃめちゃメタルかもしれないです(笑)。

――新年度が始まったばかりですが、今後のビジョンをお聞かせください。

森山 二人とも音楽活動に専念するので、これもできる、あれもできるとワクワクしていて。今は“遊ぶ”をテーマにして音楽制作をしているんですが、すごく可能性を感じていて。そのテーマを軸に曲を作って、リリースをしていく予定です。

Kanan 音楽以外のもの作りも、“遊ぶ”を軸にできたらいいですね。

――お二人のお話を聞いていて、野外イベントとか面白そうだなと思いました。

Kanan そうなんですよ!

森山 自分たちで作った遊具を持って行って、その辺の公園で歌うとか、都市との関わりもバンバンしていきたいですね。

Information

2ndコンセプト配信EP
『遊歩道』
2024年4月17日(水)リリース

〔収録曲〕
M1.MUTEKI
M2.瞳
M3.きれい


1stワンマンライブ 「monje 第一公園」
日時:2024年5月18日(土) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:Music Hall & Bar BAROOM
monjeオフィシャルサイト

monje

ボーカル&作詞担当のKananと、全楽曲の作曲とアレンジを担当する森山瞬からなる東京藝大発のクリエイティブチーム。2022年8月にSDR内レーベルMeMe Meetsより「Sangria」でデビュー。2023年2月にリリースした「madobe」はJ-WAVE「SONAR TRAX」3月期ピックアップに選出、「TOKIO HOT 100」では4位を獲得。2023年9月20日、初のタイアップ曲「Fragrance」をリリース。2024年5月8日、配信シングルをリリース予定。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI