全てが緻密に演出された「架空のアウトライン」という物語

MCでは桜木が金髪にしたことや、長野の髪の乱れを桜木が治す様子に歓声が沸き、吉澤の愛犬ルーチェが誕生日を迎えたことが話されると、大きな拍手が贈られた。「推論的に宇宙人」でのコール&レスポンスのレクチャーも楽しく行い、パフォーマンスのカッコ良さとMCの柔らかさのギャップがげんじぶの魅力の一つであろう。

ピアノの美しい旋律と共に歌い踊る「545」に続き、「ラベンダー」も特別なピアノなバージョンに。DANCE TRACKではビートが会場を包む中、黒と白を基調としたクールな衣装にチェンジ。「ケイカクドヲリ」では激しいダンスと激しいラップの応酬が観測者を盛り上げ、スモークの演出もクールに決まった。額縁やネジなどのモニュメントがステージ上に現れ披露された「Museum:0」は圧巻のパフォーマンス。個人的に彼らの表情力が特に現れる楽曲だと感じている。

本をテーマにした映像が流れる中、「『誰も知らない歌』」では輝く本をメンバーがそっとめくる演出が登場し、まさに物語を紡ぐ様な楽曲の魅力に酔いしれる。

ライブ終盤では、「夢に唄えば」から7曲の怒涛のメドレーに。「嗜好に関する世論調査」ではライブでの定番となっている“2択、2択”コールが響き、キュートな「ギミギミラブ」、季節感たっぷりの「桜Ground」では観測者の笑顔もより一層華やいだ。「ネバーエンドロール」、「THE EMPARTY」と観測者のすぐ近くで歌唱しながら、武藤が「明日から新学期だろ?学校、仕事、毎日大変だけれど、たまにはげんじぶに会いに来て。息抜きに来てくれ!」と真っ直ぐなメッセージをぶつける。

グループ名と同じ代表曲である「原因は自分にある。」では、クラップを会場全体で合わせ最高の盛り上がりに。最後の曲となった「灼けゆく青」を歌い上げた後には、ステージがスモークに包まれる中メンバーの姿が消えていく。全てが緻密に演出された「架空のアウトライン」という物語は幸せな余韻を残したまま幕を閉じた。

原因は自分にある。

2019年7月7日デビュー スターダスト所属の7人組ダンスボーカルユニット 原因は自分にある。 < 原因 = 意味:ある物事やある状態、変化を引き起こすもとになること > 否定的な意味で使われることの多い “ 原因 ” という語を肯定的に捉え、 このグループが引き起こすコト・作り出すモノが “ 原因 ” となり、 世界に新たなものが生まれる契機になるというテーマを掲げ、 インパクトを与え続ける前衛的なユニットとして躍進。

PHOTOGRAPHER:米山三郎,REPORTER:KOZUE NAKAMURA