登り詰めるだけ登り詰めるため“あえて目標は明言せず”全力で目の前に集中を
――音楽への情熱は共通しながらも、ルーツも様々な3人がでpachaeを結成した経緯も伺いたいです。
音山 じつは、当初は今の形ではなかったんです。僕が公園で弾き語りをしていたら、当時のドラムに声をかけられたのがはじまりでした。遠くで学生たちが酒盛りしていて、そのひとりが当時のドラムだったんですけど、ベロンベロンに酔っ払っていたから、最初は「コイツと組むのは嫌だな」と思ったんです。でも後日、ドラムの演奏を見に行ったら抜群に上手かったので、一緒にやることになって。他のメンバーも集めて、当初は5人で活動していたんですけど、メンバーの脱退もあり、今の3人が残りました。
バンバ 僕は元々のドラムが高校時代の先輩で、pachaeに誘われたんです。ノリで決めてしまう精神なので、二つ返事でオッケーしましたね。過去には「いっしょに働きや」と言われてすぐさま「働こう」と返事してアルバイト先を決めたこともあったし、そこでお客さんからギブソンのレスポールをプレゼントされたこともありました。このバンドと出会えたのもですし、ステータスが運に全振りされてると思うほどです(笑)。
さなえ 私は、エレクトーン デモンストレーターとしてのオーディションを控えていた時期に誘われたんです。音楽を仕事にできる環境で「エレクトーンの世界に限らず、もっと色んな世界を見られるかも」と思い、ワクワクして。うれしかったし、迷いもなかったですね。
――想いを共にして活動を続けるこのバンドで、この先での目標も描いているのでしょうか?
音山 具体的な野望がないとダメという風潮も嫌なんですけど、とにかく登り詰めるだけ登り詰めたいと思っています。立ちたいステージやイベントが無数にあっても、そこをめざして「これをやろう」となってしまうのは本末転倒だし、僕らは目の前のことを全力で楽しみながらやってきたので、これからもそのスタンスで活動を続けていきたいんですよ。今回の「アイノリユニオン」でありがたいことにアニメのタイアップをいただいたのもその結果ですし、数年前に「いつかタイアップを取るために頑張ろう」とだけ目標を定めていたら、今も実現できずにもがいていたかもしれないし、どんなことでも一生懸命に取り組んで、意地でも売れたいです。
――バンド初のタイアップでの曲づくりも経験して、新たな刺激を受けての影響もありそうですね。
音山 物語に合わせた曲を作るのは挑戦だったし、ストレートなラブソングを作ってこなかったので、広がりが生まれたかなと思います。自分発信での曲づくりを続けていると、ワンパターン化しているかもしれないと不安もわいてくるんですよ。今回の「アイノリユニオン」は自分たちは「こんなこともできるのか」と発見するきっかけになったし、この先、僕らの糧にもなればと思います。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:SYUHEI KANEKO,HAIR&MAKE:MEMU NAGAO,STYLIST:JUNYA ABE