周りの方に助けていただきながらお稽古に励んだ

――「STREAM」で初めて取材させていただいたとき、今後の目標の一つに舞台出演を挙げていましたが、昨年11~12月に上演された『138億年未満』で叶いました。

倉沢杏菜(以下、倉沢) 昨年4月に『138億年未満』のオーディションを受けたのですが、同時期に「ビリオン×スクール」(フジテレビ系)のオーディションも受けていました。

――どちらも合格したのはすごいですね。「138億年未満」はどんなオーディションでしたか。

倉沢 二日間あったのですが、舞台の振付を担当された中林舞さんがいらっしゃって、初日に振付を教えていただいて、二日目に踊りました。その他にも台本によるお芝居の審査やワークショップのようにエチュード(即興劇)もやって、長い時間をかけてのオーディションでした。

舞台『138億年未満』より

――どういう振付だったのでしょうか。

倉沢 ジャズとコンテンポラリーにポップさを交えたような振付でした。もともと私はバレエをやっていたので、ジャズは身近なものではあったのですが、振りを作っていただいて、それを入れて踊るというのが久しぶりで、付いていくのに精一杯でした。参加者の中にはすごくダンスの上手い方もいらっしゃって、皆さん振り入れが早いんです。それを目の当たりにして焦りながらも、必死にやっている感覚が久しぶりで楽しかったです。ダンスというよりは身体表現のようなイメージで、本番の舞台では、より芸術性が前面に出た振付になりました。

――実際に舞台の出演が決まったのはいつぐらいでしたか?

倉沢 4月中だったので割と早かったです。それから稽古までの期間に、「ビリオン×スクール」とNHK大河ドラマ「光る君へ」の撮影がありました。

――倉沢さんは英語がお好きで、大学でも専門的に学んでいるそうですが、英語と日本語が入り混じったような会話を繰り広げました。

倉沢 初めてお仕事で英語が活きました。英語は喋っているだけで楽しいのですが、コミカルなシーンなので、面白くできるように試行錯誤しました。

――舞台が大阪なので、使う言葉は関西弁でした。

倉沢 大阪出身の方にご指導いただいたのですが、方言を使うこと自体が初めてなので難しかったです。繰り返し聴いて、話して、チェックしていただいての繰り返しでした。

――舞台と映像では発声法も違うかと思います。

倉沢 全然違いますね。気を抜くと声が小さくなりがちですし。早めに稽古場に入って、入念にストレッチをして、しっかりと声が出るように準備をしていました。

――覚えることがたくさんあって混乱しそうですね。

倉沢 初舞台で、方言と英語があって、踊りもあって、お稽古に入る前は不安要素がたくさんありました。お稽古も必死に食らいついてやっていましたが、キャストの皆さんも、作・演出の福原(充則)さんを始めとしたスタッフさんも良い方ばかりで。年齢が離れた方も多かったのですが、優しくフレンドリーに接してくださって、お芝居の話も細かくさせていただきました。相談に乗っていただくことも多くて、周りの方に助けていただきながらお稽古に励めました。