寺西拓人さんの優しさが伝播して、とても穏やかな現場だった『天文館探偵物語』

――現在公開中の映画『天文館探偵物語』ではヒロインの橋口凪を演じています。舞台は大原さんの故郷である鹿児島です。

大原 故郷でお芝居をするのは大きな目標の一つだったので、夢が叶いました。

――初めて脚本を読んだ時はどんなことを感じましたか。

大原 “守りたい人たちがいる。その想いが勇気になる。”という作品のキャッチコピーが、それぞれの登場人物に刺さる内容だなと感じました。私が演じる凪は息子を守ろうとするシングルマザーで、初めての母親役だったのですが、しっかりと役作りをしていかないといけないなと思いました。

――どんな役作りを意識しましたか。

大原 あえて「母親らしくいよう」という思いを捨てることを大事にして、自分自身がシングルマザーという境遇になりきることを意識しました。凪は自分一人で息子を守らなきゃいけないという、計り知れないものを抱えています。一方で救いを求めるようにして生き続けてきた女性でもあります。凪が助けを求めることで、物語が動いていくので、その軸をぶらさないように、現場に入る前に頭を整理して臨みました。

――事前に諸江監督から、凪についてのお話はありましたか。

大原 衣装合わせの際に、諸江監督が凪の生い立ちを教えてくださったんです。脚本にない部分まで、役としての情報をたくさんいただけたおかげで、ぶれない軸を作って現場に入っていけたのでありがたかったです。本番中は細かく指示を出すのではなく、役を託していただけたので、自由に演じることができました。

――鹿児島での撮影はいかがでしたか。

大原 クランクイン後、「優乃が鹿児島で何かの撮影をしている」というのが噂になっていたみたいで。私の小学校時代の親友のお母さんから、私の母に連絡があったそうです。それくらい昔から慣れ親しんだ街で撮影をさせていただくのは、感慨深いものがありました。ただ、役としては鹿児島県民ではなかったので、そこだけがもどかしかったです。

――共演の肥後遼太郎さんも鹿児島出身ですよね。

大原 同郷の方なので、現場では鹿児島弁で故郷のお話ができて、とても落ち着く時間でした。

――主演の寺西拓人さんは、どんな方でしたか。

大原 今回が初共演だったのですが、どんなにシリアスなシーンを控えていても、常に穏やかで優しいんです。そんな寺西さんの優しさが、みんなに伝播して、とても穏やかな現場でした。

――特に好きなシーンを教えてください。

大原 鹿児島のお祭り「おぎおんさぁ」のシーンです。実際にお祭りを楽しまれている方々の中で撮影を行ったのですが、映画のトーンと、お祭りを楽しまれている方々の雰囲気に、いい意味でのギャップが生まれていて印象的でした。去年7月の撮影だったので暑かったですし、何回もテイクを重ねられるシーンではなかったので、「1発で成功させなきゃいけない」という緊張感も思い出深いです。