2人の暮らす家の中にもドラマからの歴史が紡がれている

――樹と冬雨は、中学生になった娘の月(岡本望来)とともに、静岡県・伊東市で暮らしています。伊東市というロケーションはいかがでしたか。

中村 自然豊かで、とても癒される場所でしたが、撮影が夜遅くまで続くことも多くて。撮影終わりに、「ご飯食べに行きたいね」と話していても、どこも開いていなくて寂しかったこともありました(笑)。ただ以前、ドラマでお世話になった伊東市の方々が手作りの食べ物を差し入れしてくださるなど、いろいろお世話になって、温かい気持ちになりました。

菅井 3人が生活する場所も、実際に誰かが住まわれているお家を貸してくださって。セットとは違うぬくもりがありました。

中村 映画では直接描かれていない7年間も、ずっとそこに3人が暮らしていたんだと感じさせるような仕掛けがたくさんあって。たとえば写真立てや、壁に貼られている家族のマイルールなど、生活感が出ていて。ずっと暮らしてきたような居心地の良さがありました。

菅井 「チェイサーゲームW2」に樹のおばあちゃんが登場しますが、7年間の間に亡くなっているんです。そのおばあちゃんの写真も家の中に飾られていて、ちゃんとドラマからの歴史が紡がれていて。そうした細部にも注目して観ていただけるとうれしいです。

――お2人のやり取りは真に迫っていましたが、アドリブ的な要素もあったのでしょうか。

中村 基本的に台本に沿っていますが、その場で太田監督と話し合って、自然に生まれたものが採用されることもありました。

菅井 太田監督は「その場で生まれたものを大事にしていこう」という方なんですよね。

――映画で初めて登場するメインキャストについてもお聞きしたいのですが、月を演じる岡本望来さんはどんな印象でしたか。

中村 ドラマから成長した月ちゃんを自然体で演じてくださったので心強かったです。月ちゃんは、2人のいざこざや、まどろっこしい関係性をオブラートに包んでくれるような仲介役なんです。小さな大人みたいな存在感があって、すごく頼りになりました。時には年相応のきゃぴきゃぴ感やあどけなさも垣間見えて愛らしかったです。

――2人が自分たちの関係性を見詰めなおす、きっかけとなるタクシードライバーの梢を演じたのは伊藤歩さんです。

菅井 樹は梢さんの助言によって、自分のモヤモヤの正体に気づきます。伊藤さん自身が安心感を与えてくれる雰囲気があって、梢さんの逞しさと信頼感、同じ女性だからこそ甘えられる魅力を出してくださっていて。自然と「梢さんになら話せるな」という気持ちにさせてくれるので本当にありがたかったです。