自分とはかけ離れた役柄との向き合い方

――ドラマ『未婚詐欺 私の知らない彼の顔』のオファーがあったときのお気持ちからお聞かせください。

北乃きい(以下、北乃) マンガが原作なので、ファンの方々に認めてもらえるような、原作をリスペクトしたドラマにしたいという気持ちがありました。過去にもマンガが原作のドラマは幾つかやらせていただいて、毎回プレッシャーはあるんですが、今回の作品のように、まだ原作が完結していない場合は、先にドラマのほうが完結してしまうという違った緊張感もあるんです。ただ、ネガティブなプレッシャーではなく、ワクワク感のほうが強かったです。

――マンガが原作の場合、意識していることはありますか。

北乃 『ライフ〜壮絶なイジメと闘う少女の物語〜』や『銀魂 -ミツバ篇-』のときもそうだったんですが、同じ手の持ち方をしてみようかなとか、このキャラクターに合わせて話そうとか、原作の設定に寄り添いながらやっています。

――藤原さんはいかがでしたか。

藤原樹(以下、藤原) 僕は今年に入って、今回のドラマのオファーをいただくまで、お芝居の仕事をやっていなくて。久しぶりのドラマだったので、やっと来たかという、うれしい気持ちがありました。原作を読んだら、かなり振り切った役なので、しっかり向き合って、原作ファンの方に失礼のないようにクズになり切って楽しみながら演じようと思いました。これまでもクセのある役が多かったんですが、今回演じる慎司は、THE RAMPAGEのメンバーからは「ぴったりだな」と言われて複雑な気持ちになりました(笑)。

――お二人は今回が初共演とのことですが、第一印象はいかがでしたか。

藤原 過去に舞台でTHE RAMPAGEのメンバーが北乃さんと共演していたんです。その舞台も観に行っていたので、今回ご一緒するのが北乃さんと聞いたときは、すごくご縁があるなと思いました。本読みとビジュアル撮影が同じ日だったのですが、慎司の妻で専業主婦の沙耶香という役どころもあってか、落ち着いていて、包容力のある方だなと感じました。

北乃 藤原さんは原作の慎司と見た目がぴったりで、マンガの中から出てきたみたいな印象でした。

――それぞれの役柄について、どのように捉えましたか。

北乃 私は沙耶香に似ているところがほとんどなくて……。進藤丈広監督は、お芝居が終わってから、カットがかかるまでの間が長いんです。その間、「沙耶香だったら、最後はどっちに向いて、はけるかな」とか、「どういう表情をしたまま、ここに立っているんだろう」とか、ずっと考えながらやっているんです。その分、いつも自分に問いかけながら演じさせていただきました。

――あまり共通項がないと。

北乃 強いて挙げるとすれば、パートナーが夢を追いかけていて、二人で暮らすうちにお金がなくなったとき、自分が代わりに働こうみたいな考え方は似ているかもしれないです。沙耶香は内助の功というよりは、ずっと自分が慎司を支えてきた。やっと慎司も弁護士になって、いい生活をさせてもらっているけど、すぐに不倫をされてしまうので、自立しているシーンのほうが長いんですよね。この人のおかげで食べさせてもらっている、というシーンはちょっとしかなくて。ただ本来の沙耶香は頼りたいタイプだと思うんです。それは経済的なことではなく、気持ちの部分だと思いますけど。

藤原 僕も慎司と似ているところはないですね。

北乃 え?ないんだ(笑)。

藤原 似ていたら嫌ですよね(笑)。だからこそ、クズをテーマにした作品や、ある韓国ドラマで印象に残っているクズ役などを思い出して参考にしながら、役作りをしていきました。慎司は沙耶香、部下の結城真央(島崎遥香)、美容部員の坂上遥(和内璃乃)と三人の女性に優しく接してはいるんですが、別れを告げるシーンなどは、酷いことを平然と言う。そういうときの言い方、裏の顔がポンと出るような部分は、普段の自分だったら絶対に無理です。だからこそ思い切って振り切ることができるので、逆にやりやすいんです。僕のファンが見たらどう思うんだろうというのは、あまり考えずに演じることを心がけています。

――慎司は三人の女性それぞれに違った顔を見せますが、どのように演じ分けていますか。

藤原 本読みのときは切り替えが大変で難しい役だなと思ったんですが、撮影になると「今日は真央の日」「今日は遥の日」みたいに分けられている日が多いので、そこまで苦労はしなかったです。