咲妃みゆさんはお芝居に真摯で信頼のおける方
――稽古場の雰囲気はいかがですか。
渡邊 オノマさんも稲葉さんも、役者に話す隙を与えないくらい、役のことや作品のことを話してくださるんです(笑)。それが作品を理解する手掛かりになって、デリケートなテーマも含んでいますが、身近な具体例で説明してくれるなど、どんどんディテールが明瞭になっていきます。ディスカッションしながら、一場面一場面を理解して、みんなの解釈を混ぜながら『Yerma イェルマ』を作っています。和気あいあいとした雰囲気でありながら、それぞれが意見を出し合って、自分の出ないシーンについてもみんなでイメージを共有して、すごく良い空気です。それをまとめてくださる渡辺いっけいさんの存在も大きいですし、とてもバランスの取れた座組です。

――イェルマを演じる咲妃みゆさんの印象はいかがですか。
渡邊 明るいひまわりみたいな方なのですが、どこか儚さもあって、可憐さもある一方でお茶目さもあるんですよね。お芝居のことに関しては真摯で、フワンについて話し合っていた時に、しっかりと自分の意見を伝えてくださいます。そこでもし意見がぶつかったとしても、ちゃんと納得できるまで議論をしてくださるので、信頼のおける方です。
――久しぶりの舞台ということで、映像との違いなど、何か意識していることはありますか。
渡邊 昨年も朗読劇をやらせていただいているので、そこまで舞台から遠のいている感覚はないのですが、一つのシーンに対する解釈にしても、映像とは大きく違います。たとえば一、二行の短いト書きに対して、映像だと自分の中で考えて、その解釈を当日ぶつけます。もちろん監督からの指示もありますし、軽い議論も行うことはありますが、要は一発勝負のようなものです。それに対して舞台は、どのシーンに対しても、ある答えを共通認識としてみんなで持つという作業があるので、それは役者としても、純粋に本を読む力が鍛えられていく感覚があります。

――約1か月にわたる公演ということで、稽古中から気をつけていることはありますか。
渡邊 稽古中に気にしていることは、喉が枯れないように気をつけることですかね。やはり体が資本というか、それを身に染みて感じる舞台になる予感もあります。まずは体調を崩さないようにしたいです。
