写真集ではなく、より作り込まれた世界観を表現した作品集に
――今回の『FIRST EGOISM』は写真集という打ち出しではなく、作品集とのことですが、まずはテーマやコンセプトから教えてもらえますか?
若月佑美(以下、若月) 今回は自分の中のテーマとして「自分を作品にしたい」という思いがあり、写真集ではなく作品集という形にしました。これまでの2冊の写真集は若月佑美という人間の日常や素の表情を切り取ったものがメインだったのですが、今の自分が表現したい世界観は、日常を切り取ったものよりも「作り込んだメッセージ性のあるものを作ること」だったので、その強い思いを込めて、今回は作品集に挑戦しようと決めました。

――それはやはり15周年の節目ということもあり、集大成的な作品にしたいという思いもあったのでしょうか?
若月 そうですね。ありがたいことに色々な経験をさせていただきましたが、これまでは「作り上げられた作品の中に入れてもらう」ということがほとんどでした。過去2冊の写真集でも「こういう場所で撮りましょう」、「こういう衣装を着ましょう」と決めていただいて、自分は身一つでそこに行けばよかった…。でも、経験を重ね、知識を蓄え、自分が表現したいことも増えたので、「今度は自分で作り上げたい」という思いが溢れてきました。15周年という節目に、過去を振り返りつつも未来への意思表示ができるものを作れたらいいなと思い、このような作品集になりました。
――実際にご自身でご覧になった感想はいかがですか?
若月 読むのに時間がかかったことがとても嬉しかったです。作品集としてのページ数はそこまで多くはないので、すぐに読み終わってしまうのではないかという不安もありました。でも、実際は1ページ1ページこだわりを持って作ったので、簡単には次のページに進めないというか…。構図や意図を考えてもらえる余地を残しているので、手に取ってくださった方には「これはどういう意図なのか?」、「どうしてこの構図なのか?」と考えながら見てもらえたら嬉しいです。自分としてもとても納得できる作品集になりました。

――シーンごとにタイトルや言葉が添えられているのがとても印象的で、その言葉の意味や写真との関連性を考えながら見るのも楽しいなと感じました。
若月 自分の中で、芸術の中には「言葉」も含まれています。二科展に出した作品もポスター部門だったので、キャッチコピーやメッセージなど言葉を入れなくてはならなかったんですよね。なので、私の中で言葉と作品はセットです。美術館で絵画を見た時に、最初は「可愛いな」と感じても、タイトルや作者の思いを読んでみると「ただ可愛いだけじゃなかったんだ」と気付かされることってありますよね。今回はそのような表現をしたくて、言葉を入れることで2倍に楽しんでもらえるようにしました。
――写真からイメージしてタイトルをつけたもの、タイトルを先に決めてから写真を撮っていったもの、両パターンあったのでしょうか?
若月 どちらもありました。最初から構図まで決まっているものについては、言葉を先に書いていきましたが、作り上げていく中で当初の想像を超えていったものもありましたので、そういう作品については後から言葉を書き換えたりもしています。そうした作業も含めてとてもクリエイティブで楽しかったです。
――タイトルの『FIRST EGOISM』はどのような思いで付けられたのですか?
若月 イメージは「原点回帰」に近いのかなと思っています。「描きたいものを自由に描いていた」幼稚園の頃に戻りたかったんです。年齢を重ねて知識や経験が増えると、見られるという意識が邪魔をして自由に表現できなくなる。もちろん自分では自由に表現しているつもりなのですが、本当に自分が描きたかったものなのか?ちゃんと人に届いているのか?誰のための何なのか?が分からなくなるということが増えていってしまったので、今回の15周年を機に一度立ち止まって、自由だった幼い頃の「自分がやりたいからやる」というエゴイズムで作品を作りたいなと思い、このタイトルにしました。
――このタイトルに辿り着くまでには悩みましたか?
若月 かなり悩みましたね。私は人生の目標として「人の役に立ちたい」という思いが強いのですが、芸術面でもそれを考え過ぎて自分を見失ってしまい、スランプに陥ったような時期もありました。「自分らしい表現とは?」、「自分とは何?」と考えることが増えてしまっていたのですが、考え抜いた結果、今ようやく「もう一度自由に戻ろう」と思えるようになった気がしています。
――通常版と特別版で表紙が異なりますが、通常版のモノクロの写真はどのようなイメージで選びましたか?
若月 作品集と写真集の違いが伝わりにくいかもしれないなと思ったので、通常版の表紙では自分の顔を見てもらうよりも、「作品の一部としての自分」を見てもらいたいと思い、この写真を選びました。
――では、特別版の表紙はどのようなイメージで選びましたか?
若月 特別版の方は写真集として見てもらっても構わないと思っています。アイドル時代から応援してくださっているファンの方も多いので、そんな皆さんにも喜んでもらえるものにしたくて、エゴイズムと言いつつもバランスを取って、私のどアップの写真を選びました。
