クラシックか?ロックか?若月佑美にとっての自分らしさ

――通常版の表紙はどのように撮影したのか、苦労した点なども是非お聞きしたいです。

若月 この写真はカメラマンさんと一緒にプールに沈んで撮影しました。どうしても浮いてきてしまうので、息を吐き切って沈めるように何度も何度もチャレンジしました。撮影時間も一番長かったと思います。その中のほんの一瞬を切り取った写真です。このシーンのタイトルに書いた「静寂こそ難儀」は、撮影の後に付けた言葉です。プールなので自然ではないのですが、水や風など自分では制御できないものが多く、シャッターを切った次の瞬間には髪の毛が全然違う形なってしまうので、一瞬を切り取る難しさを感じました。かなり難易度の高い撮影でしたね。

――一方の特別版の表紙は顔のアップですが、メイクの雰囲気などがガラッと変わっています。こちらはどのようなこだわりを持って撮影に臨んだのでしょうか?

若月 ヘアメイクさんにたくさん相談しながら仕上げていきました。髪の毛をクルクルにして、そばかすを描いてもらって、自分ではない誰かになってみたかったんですよね。普段はクールなメイクや衣装が多いので、対照的なピンクの衣装を着て、髪の毛もふわふわにしています。素の私っぽさがありつつも、作品の一部として成立するようにこだわりました。

――作品集の中で、特にお気に入りの作品を挙げるとしたら何でしょうか?

若月 (ページをめくりながら)たくさんありますが、自分の人生を表しているなと思うのは「クラシックよりロックな人生がいいですか?」というタイトルで、パンクガールのような衣装を着ている作品です。私自身は真面目な性格で、アイドル時代もずっと「真面目キャラ」や「優等生」と言われることが多く、それがコンプレックスになっていました。社会的には真面目であることはプラスですが、芸能界では破天荒さや面白みが魅力になることも多く、ないものねだりをしていたのだと思います。真面目と言われることをマイナスに捉えてしまう時期もありました。でも、そんな自分も愛してあげたいと思ったんですよね。派手な生活が目につきやすい時代なので、「私は地味だけどいいのかな?」と悩む人もいると思います。だからこそ、「クラシックよりロックな人生がいいですか?」と問いかけて、「そんなことないよ。クラシックでもロックでも、どちらも認められるべき存在だよ」というメッセージを伝えたくて作りました。私はもともとビジュアル系バンドが大好きでずっと聴いていたので、もしアイドルになっていなかったら、バンドギャルになっていたかもしれないなと…。そんな違う世界線の自分を表現したくて作った作品なので、とても気に入っています。

――ありがとうございます。メッセージも真っ直ぐ伝わってきました。そして、後半に収められているカラフルでポップな作品もとても印象的ですね?

若月 こちらはかなりポップな作品に仕上がっていると思います。Tシャツを自分で切り貼りして、絵の具を垂らしたり、後ろに文字を書いたりしながら作りました。自分自身が「宝箱のような存在」になりたいと思って、最後のページに「我楽堕」と書いています。最後の文字を本来の「多」ではなく「堕」にしました。「がらくた」という言葉にはネガティブな印象がありますが、誰かにとっては「がらくた」でも、誰かにとっては「宝物」かもしれない。そんな価値観を表現したくて作った作品です。「我」が「楽」しいことが「多」いという漢字の組み合わせがとても素敵だなと思ったのですが、だったら、そこに「堕」ちていく人生の方がもっと楽しいんじゃない?という思いを込めてこのような当て字にしています。そして、この作品集自体が「がらくた」だよという意味も込めて、この作品を最後に配置しました。

――またまた素敵なメッセージをありがとうございます。発売後に控えている作品展についても教えてもらえますか?

若月 作品展では、作品集の最後にも載せている過去の私の作品の現物を展示します。データで見るのと現物で見るのとでは全然違うので、是非とも生で見ていただきたいです。二科展に出していた作品も展示します。また、今回は絵を販売する予定で、その売上を私が大切に思っている犬や猫の愛護施設やシェルターに寄付したいと考えています。芸術は「空間を共有すること」が大事だと美術館でいつも感じているので、それを私の作品展でも実現できたら嬉しいです。