現場の明るさや和やかさは、窪田正孝さんが醸し出しているものが大きい

――ラルビさんとのコミュニケーションは英語なんですか?

村田 そうです。通訳さんを介して、英語でコミュニケーションを取っています。とても穏やかな方で、こうした方がいいみたいなことを丁寧に的確に教えてくださるんですけど、視点というか、その発想はなかった!ということがすごく多くて。演出の意図を説明してくれる時に、いろんなもので分かりやすく例えてくれるんです。これまで出演した舞台では経験のないことで、新たな発見がたくさんあります。

――海外の方と仕事したのも初めてですか?

村田 初めてです。もともとラルビさんは日本人に近い感覚という印象は受けたんですけど、杉原邦生さんという方が演出の補佐で入ってくださっているのもあって、お互いの個性が混ざり合っているような感じがします。先ほどお話しした音楽と同じで、演出面でも和と洋を感じました。

――フィジカルな要素もふんだんに盛り込まれているとお聞きしました。

村田 体を使った表現は多いですね。今回は「フライング」と言って、ハーネスを付けて飛ぶシーンもあるんです。それも初めての経験で、しかも稽古に入るまで知らなくて。稽古に入ってから、「飛ぶよ」みたいな感じで、どんどん演出が変わっていくんです。それもラルビさんのアイデアだったんですけど、どんどん変化していくのも面白かったですね。

――稽古に入ってから、そんなアクロバティックな演出があると知るのも珍しいですね。

村田 今回のお話をいただいた時に、ラルビさんの演出方法を調べて、体を使う表現が多いことは知っていたんです。なので前もって体を動かせるようにしとこうと思って準備はしていたんですけど、まさか飛ぶとは思ってなかったです(笑)。フライングによって、言葉や心を表現するというラルビさんの発想は新鮮でした。

――今回の舞台は、今話題の東急歌舞伎町タワー内にできた劇場「THEATER MILANO-Za」のこけら落とし公演でもあります。

村田 制作発表の時に初めて入らせていただいたんですが、まだ東急歌舞伎町タワーも開業前でしたし、そこに足を踏み入れるのは不思議な感覚でした。みなさん、「この劇場に最初の印を残すんだね」みたいなことを口を揃えて言ってました。

――稽古場の雰囲気はどんな感じでしたか?

村田 皆さん優しくて、私にも仲良くしてくださって、日常会話からお芝居のことまで、和気あいあいとした雰囲気で話しています。

――キャストさん同士で意見を言い合うんですか?

村田 キャスト同士でお芝居について話すことは多いですね。パイロットたちは関係性が近いというのもあって、稽古の合間に「さっきのシーンはどうだった?」みたいなことを気軽に話し合っています。しかも、みなさん1言ったら100で返してくれるんですよ。それぞれ演技に対する姿勢や、持っている個性や感覚が違うから、すごく勉強になりますし、それぞれの答えをもらって自分のお芝居にも組み込んだりしています。

――主演の窪田正孝さんの印象はいかがですか。

村田 現場をいつも明るくしてくださる方で、稽古場に入ってきただけで、窪田さんが来た!って分かるぐらい元気がいいんです。現場の明るさや和やかさは、窪田さんが醸し出しているものですね。

――石橋静河さんはいかがでしょうか?

村田 最初にお会いした時は静かな印象で、めちゃくちゃ大人っぽくて、素敵だなと思ったんですけど、あんまり年齢が変わらないと聞いて衝撃を受けて。私と2歳しか変わらないのに、なんでこんなに素敵なオーラが出てるんだろうと。話してみたら、ちゃきちゃきした印象で、気さくで明るくて。つもニコニコしている印象で、場が和みます。

――今回の舞台を通じて、どんな学びがありましたか?

村田 杉原邦生さんから「一つひとつの動きが全てお客様に届くと思って全神経に集中して、一歩一歩、踏み出すことに意味があると思って役を生きてほしい」みたいなことを言われて、改めて舞台と映像の違いを実感しました。