幼い時の自分を見ているような気持ちでヌーを演じた

――『ヌーのコインロッカーは使用禁止』の脚本を読んでどんな印象を受けましたか?

古川藍(以下、古川) 発達障害を持った女の子の話ということで、少しデリケートなテーマだなと思いました。でも、役者としては新たな挑戦にもなりますし、発達障害の方がいる施設を伺って取材もできて、いい経験をさせていただきました。

――取材したことで演技に生かせたことはありましたか?

古川 ありました。お会いしてみると、当たり前ですが皆さんそれぞれ性格も違う。純粋な方ばかりで一緒に過ごしていてとても楽しかったので、自分がその時に感じた気持ちをそのまま演技に表せばいいなのかなと。あんまり難しく考えずにやってみようと思いました。

――ヌーはオウム返しをするセリフが多いですが、取材された方でそういう方がいたのですか?

古川 実際にはいらっしゃらなかったのですが、監督が描いたヌーちゃんはそういう子だったので、指示を忠実に噛み砕いて、「ヌーちゃんだったらこうするかな」と演じたつもりです。

――2018年に舞台で上演した作品を映画化されましたが、映画のヌーを演じるにあたってどんなことを意識しましたか?

古川 舞台でも映像でもそうですが、上西監督は人が人を描くことを前提にしてお話を書かれるので、自然に見えない要素はできるだけ取り除くようにしています。撮影は5年ぐらい前だったので、自分が演じた感覚がなくて、完成した映画を観た時は、幼い時の自分や、自分の子どもを見ているような感覚でした。

――上西監督が仰っていましたが、舞台版はコメディ要素が強いそうですね。

古川 舞台は、“笑って、泣いていただく”という、映像劇団テンアンツ上西組の要素がたくさん詰まっているので、8割方は笑いです!

――お客さんを泣かせるよりも笑わせるほうが難しそうです。

古川 おっしゃる通り本当に難しくて……、お笑い芸人さんたちはすごいなと思います(笑)。

――舞台の手応えはいかがでしたか?

古川 手応え……、そうですね。私は常に反省ばかりで手応えを感じたことが滅多になくて。「ヌーのコインロッカーは使⽤禁⽌」も「いや、そんな子いないやろ」って思われるかもしれませんが、一応キャラクターとしてのヌーちゃんなので。少しでも観た方の印象に残って、観て良かったなって思っていただけたら、それでもう十分です。

――舞台は徳⽵未夏さんとのダブルキャストで演じられました。監督はお二人のアプローチが全く違うところが面白いとお話しされていました。意識し合うことはありましたか?

古川 徳竹さんが演じるヌーと私のヌーは全然違うし、彼女は彼女で作るヌーちゃんがあるので、特に意識することはなかったですね。自分は自分、彼女は彼女という感じで捉えています。