テニミュの原作者・許斐剛先生と運命的な再会 | 小越勇輝 「自分という存在が誰かのパワーになっていたらうれしい」 INTERVIEW

テニミュの原作者・許斐剛先生と運命的な再会

――「仮面ライダーキバ」の放映が2008～2009年で、その翌年の2010年にミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズンの出演が決まり、４年以上に渡って主人公の越前リョーマを演じることになります。

小越　高校は同じ仕事をしている子たちばかりなので、「いつも高校にいたら、あいつ仕事をないんだなと思われるからヤバい！」って焦りがあって（笑）。そしたら、高校１年生でテニミュの出演が決まってホッとしました。

――その前から舞台に出たい気持ちはあったんですか？

小越　むしろテニミュのオーディションを受けるまでは、舞台は絶対にやらないと思っていました。人前で歌うのが苦手で、友達とカラオケに行っても一人だけ歌わなかったですし、踊りの経験もなかったので、舞台上で歌ったり踊ったりなんて想像もつかなかったんです。ただ「仮面ライダーキバ」で共演した方に、「テニミュの越前リョーマ役、似合うんじゃない」と言っていただいたこともありましたし、原作者の許斐剛先生が音楽活動をしていたときに、たまたま「テニプリっていいな」という曲のＰＶに出させていただいたこともあって。そのときに許斐剛先生からも、「小越くんなら越前リョーマ役ができるんじゃない」と言っていただきました。

――そんな出会いがあったんですか！

小越　ただ、その時点でテニミュの1stシーズンは完結していたので、もうやらないと思っていたら、2ndシーズンが始まるということで、絶対に越前リョーマ役を勝ち取るんだという意気込みでオーディションを受けました。その後、許斐剛先生にお会いしたら、僕のことを覚えていてくださって、「僕がオーディションで小越くんの話をしたら周りが気を遣っちゃうので何も言わなかったけど、受かってよかった」と言ってくださって、運命を感じました。

――苦手意識のあった歌とダンスはいかがだったんですか。

小越　オーディション中、その場で振り付けをされて踊るという審査があったんですけど、全然できなくて、周りを見ながら必死に付いていきました。でも家でも必死に練習していたら、審査が進むうちに振り付けも覚えられるようになって。歌も少しずつ歌えるようになって、やればやっただけ上達するんだという楽しさも覚えて。苦手意識はなくなっていきました。

――人気ミュージカルの2ndシーズンということで、自分らしい越前リョーマ像を作る難しさみたいなものはありましたか？

小越　1stシーズンと比較もされますし、自分らしい越前リョーマを作るって最初は難しいなと思っていたんですけど、やっていけば勝手に自分らしさが出るだろうと考えるようにして、誰よりも動いて、誰よりも大きくやることを意識していました。

――テニミュを皮切りに、たくさんの舞台に出演するようになります。

小越　テニミュから始まって、コンスタントに舞台をやらせていただけるようになって、その魅力を知って。今は映像を中心に活動していますが、マネージャーさんにも1年に1回は舞台をやりたいとお伝えしています。

――また映像に力を入れようと考えたきっかけはあったんですか。

小越　舞台をやっていると先々まで予定が埋まるので、なかなか映像作品の出演ができなくなったんです。この先の役者人生を考えたときに、改めてしっかりと映像にチャレンジしたいよねという話になって、そんなときに先ほど話題に出た「弱虫ペダル」の出演が決まって。それを機に、映像に重心を置くようになりました。

――どんなときに俳優としてのやりがいを感じますか。

小越　僕は自己肯定感が低めで、あまり自分を褒めることがないタイプなんですけど、多少なりとも自分という存在が誰かのパワーになっていたり、原動力になっていたりして、「この前の演技は良かった」とか「あの作品を見て頑張ろうと思った」みたいな声を聞くと、この仕事をやっていてよかったなって思います。僕のことを知らなくても、僕のことを嫌いでも何でもいいんですけど、誰かの人生に少しでも関わっているのかなって思うと、すごい仕事だし、やりがいを感じますね。

PHOTOGRAPHER：YUTA KONO,INTERVIEWER：TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE：TAMAYO KOTAKE,STYLIST：小田優士／ODA YUJI(クリエイティブギルド／Creative GUILD)