共に加入したRIONとはデビューまでに衝突した経験もあった
――お話にある「コンプレックス」はグループのテーマでもありますが、KOYAさんのコンプレックスとは?
KOYA 小学3年生で転校したと話しましたけど、転校先でイジメを受けたんですよ。バスケ部員を集めたことについても、中心になって動いていたのが面白くないと思った子もいて。無視されたり靴を隠されたり、典型的な小学生のイジメを受けたときに「他人へ深入りするのはやめよう」と思ったんです。そこから「自分のことは自分にしか分からない」というか、「周りは評価してくれないから、自分で自分を好きでいなければ」という感覚を持つようになって。だから、グループ内ではたぶん一番自己愛が強いんです。それもあり、グループデビューまでにあった準備の2年間で、RIONと大ゲンカしたこともありました。
――どんな喧嘩だったのでしょうか?
当時はアルバイトと掛け持ちながら練習に参加していて。でも、器用貧乏なのでそつなくこなせるタイプだしと、自主練を怠っていたのでRIONとケンカしたんですよ。あと、レッスンの先生がRIONにばかり「上手くなったね」と評価していたことにイラッとして、「オレも頑張ってるのに見てくれないじゃん。だったら、頑張らなくてもよくない?」と思ってしまったんです。他人に評価されたいとは思いながら「どうせ見てくれないし。自分を評価するのは自分しかいないし」と考えてしまい、ふてくされてしまっていましたね。
――その後、RIONさんとは和解したんですか?
KOYA もちろんです。RIONも未経験で必死だったし、他のグループに勝ちたい気持ちが強かったから、僕の現状を理解するほど余裕がなかったんですよ。でも、分かってくれて。僕も僕で、RIONの思いが正しいと思っていたし、たがいに自分が置かれている状況を、冷静に見られるようになったんです。ケンカしたときはたがいに「お前のこれが嫌だ」とぶつけ合うだけでしたけど、相手がどういう状態にあるかを理解し合おうと落ち着いて、それぞれ「ごめん」と謝ってからはグループで一番と言っていいほど仲よくなれたと思います。
――このグループへの加入は、自分にプラスでしたか?
KOYA はっきりとはまだ分からないんですけど、コンプレックスと向き合えているのはいい経験だなと思います。普通に生活していたら、自分の嫌な部分は見ないと思うんです。でも、嫌でも向き合わないといけない。それでよかったと思うし、自分の中を知れたのはこのグループのおかげです。自分がより好きになりました。
――この先、個人としての目標は?
KOYA グループ加入前にやっていた俳優の仕事など、できる仕事は何でも挑戦したいです。音楽が好きで、僕にしか伝えられない音も絶対あると思うし。最初、グループ加入初期にはファンの方に「一緒に頑張ろう」と言っていたんですけど、変わってきました。「頑張ろう」の一言が重い人もいると思うんです。もちろん応援はうれしいんですけど、辛くなってしまったら立ち止まるのも選択肢ですし、僕は、他人の苦しさに寄り添える大切さを伝えていきたいです。
ODDLORE Special interview(全7回)
ODDLORE YUI「男性として求められる要素では勝てないので、振り切って中性的に振る舞おうと切り替えた」INTERVIEW
ODDLORE 「コンプレックスやトラウマをポジティブに変えて”これがODDLOREなんだ”と打ち出せるように」INTERVIEW
ODDLORE
“俺は俺のままで最高だ。なんて、いつか本気で言ってみたい”。ひとりと繋がる、音楽的私小説 ODDLORE(オッドロア)。見た目、性格、家庭環境、学歴、出自、性など異なるコンプレックスを抱えたKOYA、RION、RYUICHIRO、RIKITO、JOSH、YUIの6名がスカウトによって集められ結成。音楽・MV・ドキュメンタリーなど、発表したその作品すべてが〝音楽的私小説〟として描かれ、私小説で綴られるメンバーそれぞれの想いがリスナーひとりひとりの心にも寄り添い、リンクしていく新感覚のボーイズグループ。2022年2月、EVIL LINE RECORDSよりデビュー。2023年8月16日にはメジャー1st ALBUMのリリース。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:SYUHEI KANKO