20代半ばになって、体質や体型を見直そうと思って加圧トレーニングを始めた

――前作の「大病院占拠」は見ましたか?

山谷花純(山谷) 見させていただきました。たった1日という短い時間軸の中で、たくさんの事件が起きるのが面白くて。そこで起きていることを細かく切り取ったら、こんなドラマになるんだという驚きがありました。

――山谷さんが演じる鶏・重原瀬奈(シゲハラセナ)は武装集団「獣」の一員です。

山谷 前作の武装集団は“鬼”でしたが、今回は干支をモチーフにした“獣”で、みんなが被っているお面も、よく見ていただいたら分かるんですか、こだわって作られているんです。“獣”が占拠する新空港はセットもあるのですが、ものすごく作り込まれていて本物にしか見えないと思います。

――アクションシーンなどはあるんですか。

山谷 ガンアクションとまではいかないんですが、瀬奈は大きな銃を肩から下げていて、威嚇射撃をするなどのシーンもあります。クランクイン前には銃講習もありました。これまでの作品でアクションをすることは多々あったんですけど、銃を持ってお芝居をするのは初めての経験で。サバゲーで使う銃なので結構重たくて、最初は持つだけでやっとでした。撮影を重ねるたびに軽くなっている感覚があるので、ちょっとずつ成長しているのかなと思います。

――昨年から加圧トレーニングを始めたそうですが、今回のドラマとは関係があるんですか。

山谷 ドラマのオファーがある前から始めていたんですけど、結果的に始めるタイミングはベストでした。加圧をやり始めてから、体の使い方が変わってきて、意外と早く銃の扱いに慣れることができたのも、それが関係しているかもしれません。

――加圧トレーニングは、かなりきついって言いますよね。

山谷 私はせっかちな性格なので、何ヶ月も通って、やっと結果が出るというトレーニングだと続かないんです。すぐに結果が出るということで加圧を選んだんですが、1時間の間に何回も同じことをしなくていいのは、自分の性格に合っています。パーソナルでマンツーマンなので、逃げ場がなくて休みを与えてくれないところもいいですね(笑)。

――これまでジムなどに通った経験はあるんですか。

山谷 ホットヨガに通ったことがあるんですけど、本格的なトレーニングは初めてです。20代半ばになって、体質だったり、体型だったりが変わってきたので一回見直そうと思っていて。そのタイミングでドラマ「アイドル誕生 輝け昭和歌謡」(2023年12月1日、NHK BSプレミアム4K / 2024年1月2日、NHK BS)でピンクレディーのミイさん役をやらせていただいたときに、体力面の壁にぶち当たったんです。それでボイストレーニングの先生に相談したところ、「加圧がいいよ」ということで紹介していただいて。去年の11月ぐらいから通い始めて、今も意地で通っています(笑)。

――具体的にどんな効果がありますか。

山谷 まず服に着せられている感がなくなってきました。あと腰痛持ちなんですけど、それも緩和されましたし、もともと太りにくく痩せやすい体質だったのが、ちょっとずつ健康的な体になれていると実感できるのがうれしくて。

――そこまで効果を実感できると継続できますよね。

山谷 しかも先生が、めっちゃ褒めてくれるので、まんまと乗せられてやっています(笑)。

――瀬奈はどんなキャラクターですか。

山谷 瀬奈は、空港関係者にパワハラを受けて亡くなった同僚がいて、その復讐をするために獣チームに加わりました。瀬奈が嘘を暴くシーンを撮影したときは、復讐の方法や装置も、前作に比べて大がかりになっていて。撮影しながら、本当に死ぬんじゃないかってドキドキするぐらい息が詰まるシーンでした。台本を読んだ時点では、果たして瀬奈は、復讐して気持ちが晴れるのか分からなかったんです。実際に演じてみたときに思ったのは、痛みを痛みで返しても、結果的に自分の中で痛みは残り続けるんだなと。それを実感した瞬間、達成感と罪悪感の狭間に陥って。ちゃんと人の心を持った女性なんだと身を持って理解して、その気持ちを大切にして、今後も瀬奈を演じていけたらいいなと思います。

――今のところ獣チームと警察側は接触していませんが、撮影も別々なんですか。

山谷 別々です。ブロックごとに撮影しているので、台本の中では繋がっているけど、私たちはほぼ獣チームとしか顔を合わせません。だから警察側の方々がどういうシーンを撮っているのか全く知らなくて、私たち自身もオンエアを見るのが楽しみです。

――2話が終わった時点で、獣チームは、前作に引き続き出演している“蛇”の宮本茉由さんと、山谷さんしか正体が明かされていません。先の展開は出演者の方も分からないことが多いんですか。

山谷 多いです。視聴者の皆様にもサプライズが多い作品だと思うんですけど、私たち自身もサプライズが多くて。いただいている分の台本を頼りにお芝居を進めているので、この物語がどういうふうに終わるのかも全く知らないんです。台本を読んで、この人は誰が演じるんだろうと思うときもあるし、台本が進むにつれて、この関係性は、ここからスタートしたんだというのが分かってきて。撮影の合間に、みんなと情報交換をして、役の生い立ちを話しながら、答え合わせをしています(笑)。

――現場の雰囲気はいかがですか。

山谷 物語でシリアスな描写が多い分、カメラが回ってない時間は穏やかで、ほのぼのとしています。獣チームは年齢もバラバラで、大家族みたいな雰囲気もあります。何度か共演したことのある方もいれば、ずっとご一緒したかった大先輩もいらっしゃいます。私よりも年下の子たちもいて、ちょうど私が中間の年齢で世代のバランスも面白いです。