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    こんにちは。GANG PARADE、KiSS KiSSのキャ・ノンです。初めて挨拶にKiSS KiSSのキャ・ノンが登場しました。この前マネージャーの辻山さんに、KiSS KiSSのことを書くときは名前変えるの?と聞かれて、確かにそんなこと考えてなかったなとなりました。これからKiSS KiSSのライブの日のことを書くときもあると思うので、そのときはどうかよろしくお願いします。そしてSNSのアカウントもたまに間違えてしまいますが、優しく教えてやってください。

     

    そんな今日は、7月16日に行われたKiSS KiSSとGANG PARADEのツーマンライブ『KiSS PARADE』の日のことを書いていこうと思います。

     

     

    この日はGANG PARADEとKiSS KiSSのツーマンライブで、ひとつのライブでふたつの人格が登場した。そして、GANG PARADEとKiSS KiSSのメンバー、カ能セイの脱退の日だ。ふたつのグループでセイとお別れをする。脱退が発表されてから約一ヶ月、だんだんと自分の中で実感が薄まり、どこかでなかったことにしようとしていた。それと同時に、12人体制と5人体制の準備で毎日のようにスタジオに籠る日々に、焦りと怒りといろんな感情がぐるぐるして忙しかった。

    いろんな色の絵具が混ざったような心持ちのまま当日を迎える。会場に向かうまでも、楽屋に入って6人が揃ってからも、特典会が始まっても、リハーサルを終えても、今日でこの体制が終わることが信じられなかった。忙しなく過ぎていった日々は、いつの間にか当たり前になっていて、終わることも変わることも、きっとこれから実感していくのだと思う。

    本番はKiSS KiSSのライブから始まった。どちらのグループも持ち時間は45分。円陣を組んで、セイに気合を入れてもらう。「6人体制ラスト!」とセイが言うので、お前が言うなと笑ってしまった。「ちゅっちゅっちゅー」の掛け声でSEが流れる。SEの中ステージに上がると、目の前にはターコイズを身につけたり、光らせているみんなの姿があった。

     

    KiSS KiSSは活動を始めて1年ちょっと。6人でまっさらな状態から、グループを作っていくところからスタートした。ふたつのグループを兼任することは、当たり前にスケジュールが二倍になるので、この一年間ほぼ毎日顔を合わせて長い時間を共にしてきた。始動したての頃は、アルバムの曲の振り入れに追われ、深夜練もたくさん増やして、ヒーヒー言いながらも深夜テンションで楽しくなって窓を開けて大きな声を出したり(よくない)、大音量でKiSS KiSSの曲をかけて歌ったり(よくない)、やっぱりKiSS KiSSって曲がいい!って自画自賛していた。そんな日々は、学校生活とはまた違う、泥臭くてテカテカとした青春だった。

     

    仕事量が増えることは何もつらいことではなかったが、グループをはじめることの難しさには何度もぶつかった。特に最初は、ライブが終わるたびに、ここもっとこうしたらよかったとか、もっとできたかもとか、反省会をしては次のライブ前にまた話し合った。この曲はどう見せたらいいのか、どうしたらお客さんは乗りやすくなるのか、今までは前からいるメンバーが作ってくれた土台がある中でやってきたので、たくさん苦戦しては、ギャンパレのメンバーに感謝した。でも、だんだんと自分たちのライブが形になっていくことは、何にも変えられないほど嬉しいものだった。

     

    そんなことを思い出しながら、ライブはどんどん進んでいった。新曲が増えることの喜びや、ライブをして分かち合ってきた幸せは、ずっと残り続けるけれど、さみしいものはさみしいと思ってしまうのだ。セイと目が合うたびに、本当に今日で最後なのかとまだ疑ってしまった。

     

     

    KiSS KiSSのライブが終わると、次は容赦なくGANG PARADEのライブがはじまる。袖に捌けると、あと5分で出たいです!と急かされる。楽屋に戻り、その辺に衣装を脱ぎ捨てて大急ぎで着替える。ピンクを身に纏い、息を整える暇もなく、みんなでセットリストを唱えた。この慌ただしさは逆にありがたかった。

    ステージ袖には、他のメンバーがスタンバイしてわたしたちのことを待っていた。全員が揃うと、また13人で円陣を組んだ。SEが流れ、ステージに上がる。この時にはもう、勝手に切り替えられてしっかりとGANG PARADEだ。

     

    この13人でステージに立つのはこれで最後。選んだものが、進む道が違うだけ。冷静に考えても、それで理解しても、わたしはやっぱり人が辞めてしまうことはすごく悲しいと思ってしまう。感傷に浸りたくなくても、考えないようにしても、目の前があまり見れなかった。それでもセイはいつも通りで、KiSS KiSSのときはあんなにちゃんと話せていたのに、話したいことが飛んで袖に捌けたり、また戻ってきても忘れてしまったり、本人は悔しいだろうけど笑ってしまった。

     

    きっとこの日のことを思い出しても、そんなセイが浮かんでまた笑えてしまうんだろう。セイは向いてないなんて言っていたけど、わたしはずっと、無意識にやっちゃってるから自分で気付いていないだけで、誰よりもアイドルだと思っていたよ。

    過去の連載記事はこちら
    https://strmweb.jp/tag/ca_non_regular/

    キャ・ノン

    「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する12人組アイドルグループGANG PARADEのメンバー。また、「KiSSをあなたにお届けchu!♡」をキャッチコピーに活動するWACK初の王道5人組アイドルグループ『KiSS KiSS』のメンバーの一人でもある。ライブ好きで、苦手なことや、できないことは出来るようになればいいというタフでロックな精神の持ち主。2024年5月31日より自分自身のライブレポートなどを綴った『アイドルリアル備忘録』をSTREAMにて連載中。