こんなにゾンビにもバリエーションがあるんだと驚いた
――3月30日から始まる『風、薫る』(NHK)で河合志麻役を演じられます。『らんまん』(23)以来の朝ドラ出演になりますが、お話があった時のお気持ちはいかがでしたか。
中田青渚(以下、中田) また朝ドラに出られると思っていなかったので、うれしかったです。「らんまん」の時は緊張ばかりで、頭が真っ白だったのですが、今回はその時よりも落ち着いて臨めたかなと思います。

――明治時代が舞台ですが、撮影に向けて準備したことはありましたか。
中田 鹿鳴館で働く給仕の役なので、事前に所作のレッスンを受けました。お盆の持ち方や渡し方まで一通り教えていただいたおかげで、安心して撮影に臨むことができました。ただ、6、7人の給仕で礼の角度など、動きを合わせなければいけなくて、そこは大変でしたが、プライベートでも給仕はやったことがなかったので新鮮でした。
――セットも、当時の鹿鳴館を再現しているんですよね。
中田 華やかで綺麗なセットでした。鹿鳴館でダンスパーティーが繰り広げられるシーンが多くて、その中で給仕たちが動き回るのですが、みんなで呼吸を合わせながら演じるのはいい経験でした。
――河合志麻はどんな役柄なのでしょうか。
中田 上坂樹里さん演じる主人公の大家直美が鹿鳴館に働きに来て、仕事を教える一番近い先輩という役ですが、あまりいい子ではなくて(笑)。ちょっと意地悪をしたり、噂話をしたりするようなキャラクターです。
――上坂さんの印象はいかがでしたか。
中田 5歳くらい年下なのですが、しっかりしていて、落ち着いていらっしゃって、年齢差を感じませんでした。
――放送が始まったばかりですが、見どころをお聞かせください。
中田 一斉に外国の文化が入ってきて、それに追いつこうとしている時代の空気みたいなものがシーンごとに出ていると思いますので、そこも見どころかなと思います。
――公開中の映画『ゾンビ1/2 〜Right Side of the Living Dead〜』ではヒロインを演じていますが、ゾンビ作品は観ていましたか。
中田 韓国の『今、私たちの学校は』や『ウォーキング・デッド』は観ていましたし、日本のゾンビ作品も幾つか観たことがあります。割と好きなジャンルですね。
――『ウォーキング・デッド』は最後まで観たんですか。
中田 まだ最後まで通して観られたことがなくて。途中で過去のエピソードを忘れて、また一から見直して、というのを繰り返しています(笑)。今もちょっと頑張っているんですけどね。
――好きなキャラクターは?
中田 グレン・リーです。シーズン7で殺されますが、こんなところで死ぬの!と衝撃を受けました。正義感はあるけれど、「全員を助けるのは無理だ」と割り切れる現実的なところが好きです。
――『ゾンビ1/2 〜Right Side of the Living Dead〜』のオファーを受けた時は、どう感じましたか。
中田 「ゾンビきた!」です(笑)。実は、ひそかにゾンビものをやりたいなと思っていたんです。脚本を読んだら、B級に寄せた作品で、テンポ感が良くて、読み進めやすかったですし、半分ゾンビが主人公という設定が、自分が今まで観てきた作品の中にない設定だったので新鮮でした。人間の理性は持ちつつも、半分だけゾンビの形になって、人間社会の中で暮らしているというのが面白かったです。
――中田さんが演じた燕慈える子はどんなキャラクターですか。
中田 お人よしで、すべての人を助けたいと思っているような子。優しく見せているのではなくて、本当に心から優しいんです。それで逆に周りを困らせてしまうこともあるくらいで、自分のことは後回しにしてでも人のためになりたいというキャラクターです。
――役作りで意識したことはありましたか。
中田 コメディーなのですが、周りがアドリブ合戦をしている中で、える子はそれを真面目に受ける側です。だから、自分が面白くしようという欲を出しすぎないようにしていました。誰かが何かをやった時に、ちゃんとびっくりして受けるというリアクションをする。受けの部分をしっかりやることがえる子らしさだなと思いました。
――太田えりか監督からはどんな指示がありましたか。
中田 主人公の先輩という立場なのですが、先輩っぽさを出すというよりも、天真爛漫で、すべてを一生懸命やっているキャラクターにしてほしいということを言われました。

――主演の芳村宗治郎さんはどんな方でしたか。
中田 ずっとフラットな雰囲気で、大変な撮影なのに、そういう大変さをまったく見せずにやっていらっしゃったので、こちらも気負わずにいられました。
――太田えりか監督は、中田さんよりも年下なんですよね。
中田 撮影中もすごく楽しそうでした。これが初監督作なのですが、もともとゾンビものを撮りたいという夢があったそうで、いろんなバリエーションのゾンビが出るたびに声を出して大喜びされていらっしゃいました(笑)。メイクさんもゾンビに精通していらっしゃる方で、ゾンビごとにキャラクターを作り込んでいて、「このゾンビには包帯を巻いて」など細かくこだわっていらっしゃいました。ゾンビにもこんなにバリエーションがあるんだと、私も驚きました。
――エキストラの方もゾンビ好きが集まったそうですね。
中田 そうなんです。ゾンビものの撮影という募集をかけて、ゾンビ好きが集まってきたので、みなさんゾンビメイクや血糊に喜んでいました。どの方もゾンビの動きが上手くて、「やったことあるんですか?」と聞いたら、「ないです。ゾンビが好きなだけです」とおっしゃっていて。細かい指示があったわけじゃないのですが、みなさんゾンビ好きなだけあって、ゾンビそのものなんですよ。私は今回、ゾンビに追いかけられる側ですが、ゾンビの動きは大変だなと思いました。
――動きの遅いゾンビですか?
中田 基本的に遅いのですが、時折、ボス的な存在が何かをすると動きが速くなります。
――ゾンビは声を発するのでしょうか。
中田 奇声を発することもありますが、基本的にうめき声です。各々のうめき声で、それもお上手でした。
――ゾンビの数はどのくらいいたんですか。
中田 50人以上いたと思います。メイクさんは5人くらいで担当されていたのですが、徐々にゾンビが増えていって、最終的にはほぼ人間がいないくらいの状態になりました。
――アクションシーンはありましたか。
中田 私はほぼ逃げるだけでしたが、終盤は少しアクションもありました。久しぶりに全力で体を動かして、自分の運動不足を痛感しました(笑)。
――完成した映画を観た感想をお聞かせください。
中田 ゾンビが口を大きく開けるシーンがあるのですが、監督が口の中の色や粘り気まで細かくこだわっていて、水あめを入れて糸を引く感じにしているとおっしゃっていたんです。それが画面にしっかり出ていた時に、「これがゾンビ愛か!」と思いました。ゾンビの粘り気なんて、今まで気にしたことがなかったですからね。作品全体は怖いのが苦手な方でも楽しめるくらいコメディー寄りで、B級映画感に振り切った作品なので、幅広い方に見ていただけると思います。
