『GONZA』は今の時代にぴったりの映画

――本作は、神様のお供物・権座(GONZA)を口にした後、「人間が食べると罰が当たる」とされる鹿せんべいをつまみ食いした上村侑さん演じる鹿島拓海が原因で、研修センターに参加したチーム5人の身体が入れ替わるというストーリーです。坂巻さんは、才色兼備な新人女性社員・北嶋ナディアを演じられましたが、脚本を読んだ時の感想を教えてください?

坂巻有紗(以下、坂巻) オーディションの時から男女が入れ替わる話だと聞いていましたが、脚本に書かれていたのは、5人が入れ替わるストーリーで、「2人だけじゃないんだ!これは面白いことになってきたぞ」とワクワクしました。演技はイメージしていた何倍も難しかったですが、その分演じる面白さも感じました。

――どのように役を作っていきましたか?

坂巻 自分のイメージ像だけでは一人二役の芝居は成り立たないので、相手役の上村さんと「そういう感じなら、こうしよう」と擦り合わせ、折り合いをつけながら、役を作り上げていきました。

――今作は、LGBTQの方や車いすユーザーの方など、マイノリティ性をテーマにしていますが、その辺りで意識したことはありますか?

坂巻 いろんな人たちが切磋琢磨しながら、みんなに受け入れられているコミュニティは、あるべき社会の姿だと思いました。難しいテーマだけど、コメディ要素もあるし、観終わった後には心に残るものがあります。今の時代にマッチしている映画だと思うので、いろんな方に観ていただきたいです。

――素顔の坂巻さんは、ナディアとは雰囲気が違いますね。

坂巻 そうですね(笑)。よく、初めてお会いする方から「写真の印象と違いますね」と言われることも多いですが、良い意味に捉えるようにしています(笑)。

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

坂巻 すごく明るかったです。5人でのシーンが多いので、自然と仲間意識が強くなり、映画と同じような雰囲気でした。

――監督の演出は?

坂巻 ナディアになったり拓海になったりする難しい役柄でしたが、監督が切り替えのスイッチを上手に指示してくださったので、役に入りやすかったです。とても助かりました。

――上村さんの印象を教えてください。

坂巻 上村さんが今まで演じてこられた役から、尖っている怖い人というイメージを抱いていましたが、現場では最初からとてもフランクに接してくださいました。歌が好きという共通点もあり、「どんな曲を聴いてるの?」と好きな音楽について話したりして。上村さんは二人で役を作っていくという意識が高くて、コミュニケーションを密に取ってくださったので、ナディアと拓海としても自然にいられたんじゃないかなと思います。