苦手だったモデル活動もファンと会うことで意識が変わった
――キャリアについてお伺いします。芸能活動を始めたのは遅めだったんですよね。
辻 大学を卒業してからなので22歳です。大学在学中から読者モデルの活動は始めていたんですが、ちゃんとお仕事として始めたのはそのくらいです。
――モデルを始めたきっかけは?
辻 私は福岡出身なんですが、地元の美容師さんから、『mer(メル)』というファッション誌の読者モデルオーディションがあるから出てみないかと勧められたんです。最初は「大学のテストがあるから」とか、いろいろ言い訳していたんですけど、結局出ることになって。そうしたらグランプリをいただいて。それが大学3年生のときです。
――モデルには興味があったんですか?
辻 全くなかったです。本当に普通の大学生で、ファッションも特別好きというわけではなくて。それなのに私服撮影が多くて、すごく大変でした。撮影は東京だったんですけど、毎月躊躇しながら福岡から通っていました。カメラの前に立つことすら抵抗があったので、就活もしましたし、読者モデルの活動は大学時代の思い出だと考えていました。
――就職先も決まっていたんですか?
辻 福岡の会社から内定をいただきました。それで翌週内定式があるというタイミングで、人事の方とお話しをする機会があったんです。女性の方だったんですけど、「絶対にうちの会社に来てね!」ではなくて、「本当にやりたいことは何ですか?」みたいなことを言ってくださって。それで今自分がやりたいのは、こっちではないのかもしれないと気づいて。モデルのお仕事以外にも、ちょこちょこCMなど動画のお仕事もさせていただいていたのですが、動画のお仕事のほうが自分らしくいられるかなと思っていたんですよね。思い返すと、人事の方に言われるまでは、自分の正直な気持ちと向き合わないようにしていたのかもしれません。それで『mer』の編集部がマネジメントみたいなこともされていたので、そこに所属させていただきました。
――ずっとモデル活動は苦痛だったんですか?
辻 正直楽しくなかったです。いつも早く帰りたいと思っていました(笑)。ただ雑誌のイベントがあって、読者の方と会う機会が定期的にあったんです。そこで自分のことを誌面で見てくれている女の子がいて、わざわざ会いに来てくれて、「ありがとう」と言ってくれる。そういう貴重な経験をたくさんさせてもらって、徐々に心が動いていきました。あとはスタッフさんがとっても良くしてくださって、東京に行くたびに家に招いてくれてご飯を作ってくださったり、いろんな場所に連れて行ってくれたりして。周りの方に恵まれていたので続けることができました。