芝居も歌も両方できるミュージカルは自分に合っていた

――2020年に村上虹郎さんとWキャストを務めた『ウエスト・サイド・ストーリー Season2』以降、コンスタントに大きなミュージカルに出演しています。

森崎 ありがたいことですね。『ウエスト・サイド・ストーリー Season2』でミュージカル界に入って、今回が僕にとって5作目のミュージカルです。

――それまでミュージカルに興味はあったんですか?

森崎 学生のときに劇団四季さんのミュージカルを見に行って、純粋に面白いなと思いましたが、「ミュージカルをやりたい!」というのはなかったんです。だから『ウエスト・サイド・ストーリー Season2』でミュージカルってめっちゃ楽しい!と思って。そもそも僕はナマモノが好きで、十代の頃からライブをやっていますし、ストレートプレイの舞台も早くから出させていただいて。ナマモノで芝居も歌も両方できるミュージカルは、自分に合っていたんですよね。ただ自分がやりたくても、できるわけじゃない。呼ばれないとできないのが俳優の面白いところでもあり、難しいところでもあって。そんな中、ここ数年は立て続けにミュージカルに呼んでいただくご縁があったので、必要とされているのかなと感じました。

――今年3~5月にはミュージカル『SPY×FAMILY』でロイド・フォージャーを演じました。

森崎 『SPY×FAMILY』という東宝の作品で座長という貴重な経験をさせていただいて、今後、どんな舞台に出るのかを考えました。映像もやりたいですし、そこの分配って難しいんです。でも『ジョン&ジェン』のオファーをいただいて、2人ミュージカルという話を聞いたときに、「絶対これだろう!」と思って。エンタメに徹したミュージカルをやった後に、アートに近いようなディープな内容で、ちょうどストレートプレイもやりたいと思っていたので、絶妙なタイミングでした。

――改めて『ジョン&ジェン』の見どころをお聞かせください。

森崎 家族の話は万国共通だし、僕自身も共感することがたくさんあるので、本当に心温まるお話で。「自分の親も一人の人間なんだ」と知った瞬間に近いというか、そういう誰しも経験する気持ちに訴えかけるんですよね。人間は完璧じゃないからこそ面白いし、それに対して諦めるんじゃなくて、足りないところとどう向き合うか、自分の嫌な部分から目を逸らさないかが大事だと思うんです。それを踏まえて、今後どう自分は生きていくのかということを問いかけられる作品です。幕が開いたときに、お客さんがどう感じてくれるのか僕も楽しみです。

Information

PARCO PRODUCE 2023 ミュージカル『ジョン&ジェン』

【東京公演】
日程:2023年12月9日(土)~12月24日(日)
会場:よみうり大手町ホール

【大阪公演】
日程:2023年12月26日(火)~12月28日(木)
会場:新歌舞伎座

音楽:アンドリュー・リッパ
歌詞:トム・グリーンウォルド
脚本:トム・グリーンウォルド、アンドリュー・リッパ
演出・翻訳・訳詞・ムーブメント:市川洋二郎

出演:森崎ウィン 田代万里生(ジョン役Wキャスト) 新妻聖子 濱田めぐみ(ジェン役Wキャスト)

企画製作:パルコ

[第一幕]
1985年、6歳の少女ジェンの家に、ジョンが生まれる。弟を温かく歓迎するジェンは、暴力を振るう父親から守り抜くことを誓い、ふたりは支え合いながら成長する。やがて10代になったふたりの関係は少しギクシャクし始めるが、ジェンが大学進学のため家を出る時になると、ジョンは姉を引き留めようとする。しかし、自由を望むジェンは、振り払うように出ていってしまう。NYに出てきたジェンは、刺激的な環境で生活を始める。一方で、ジョンは父親の影響を受け始める。やがて、アメリカ同時多発テロ事件が発生。それは、イラク戦争勃発の引き金となり、ふたりの人生をも大きく変えてしまうことになるのだった。

[第二幕]
時は流れ、2005年、ジェンは恋人ジェイソンとの間に息子を授かり、弟にちなんでジョンと名付ける。弟の面影を重ねながら、手塩にかけて息子の世話をするジェンだが、当の本人は過保護な母親を少し疎ましく思うのだった。ジェイソンとの別れや父親との確執など、様々な問題を抱えながらも母親として必死に頑張るジェン。一方で、母の期待とは裏腹に叔父のジョンとはまるで違った人間へと成長していく少年ジョン。やがてジョンが大学への進学のために家を出ると決めた時、母子それぞれが、自らが抱える人生の問題と直面することになる。

公式サイト

森崎ウィン

ミャンマーで生まれ育ち、小学校4年生の時に来日、その後中学2年生の時にスカウトされ、芸能活動を開始。2020年、アジアから世界に発信するエンターテイナー“MORISAKI WIN”として7月1日に「パレード-PARADE」でメジャーデビュー。俳優としても様々な役を演じ活躍する中で、2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の新作『レディ・プレイヤー1』で主要キャストに抜擢され、ハリウッドデビューを果たす。2020年に映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞。また、ミュージカルの世界でも映画版『キャッツ』(20年日本公開)ではミストフェリーズ役の吹替えを担当。近年の舞台主演作には、ミュージカル『SPY×FAMILY』、ミュージカル『ピピン』、ミュージカル『ジェイミー』、ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2などがある。

PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI