歌詞と連動するようなメロディー感を大切にしている | ゆいにしお 「みんなの人生と重ねあわせて聴いてほしい」 INTERVIEW

歌詞と連動するようなメロディー感を大切にしている

――ゆいにしおさんの曲は現代を生きる女性に響く独特の言葉選びも特徴です。歌詞のルーツはどこにあるのでしょう？
ゆいにしお　歌詞そのものにリファレンスはあまりないのですが、江國香織さんなど女性の作家さんの文体を意識して歌詞を作っているところはあります。

――アイディアはどんなときに浮かびますか？

ゆいにしお　日常を過ごしていて、耳に飛び込んでくる言葉というのは、何か意味があると思うんです。「さすがにこの言葉では書けないだろう……」という言葉だったとしても全部スマホにメモしておくようにしています。そうすると、後からその単語を見たときに情景がふわっと浮かんできたりします。そのインスピレーションを頼りにどんどん広げていく感覚です。

――外部からの刺激が大切なんですね。

ゆいにしお　電車の中で誰かが話している声だったり、そのときに読んでいる本の言葉だったり。その言葉の持つ響きから、連想ゲーム式に頭の中にワーッと世界観が広がっていくので、その風景を描いています。

――楽曲を作る上ではどんなところにこだわっていますか？

ゆいにしお　「共感してほしい」という気持ちが第一にありますね。自分の世界も大切にしたいけど、あまり自分事に寄り過ぎていないかというバランスを意識して歌詞を作っています。音作りに関してはアレンジャーさんがこだわってくださるので、私は歌詞と連動するようなメロディー感を大切にしています。私自身は歌詞を見て曲を聴くことが好きなのですが、歌詞を見ないで聴く方も意外に多いので、ボーっと聴いていてもきちんと耳に入ってくるフレーズになっているかを重視しています。

――「routine life」のライナーノーツで「心身ともに元気で頑張れているとき、頑張れない自分の影が忍びよることがある」と書かれていたのが印象的でした。そんなとき、ゆいにしおさん独自のモチベーションの保ち方があれば教えてください。

ゆいにしお　冬眠前の熊みたいな気持ちで頑張っています。いつダウンしてしまっても後悔のないようにはしようと思っていますね。でも、ヘトヘトで何もする元気がないときでも、歌うと不思議と元気が湧いてきたりします。自分の大きい声に身体がついてくるというか。大きな声を出すのって大事なのかもしれないです。

――「これがあるから頑張れる」というものはありますか？

ゆいにしお　私の場合は食べ物が多いですね。六花亭のマルセイバターサンドとかイクラとか、大好物を冷蔵庫にストックしておきます。「帰ったらイクラがある！」と思いながら一日を頑張って走り抜けます。

――朝の散歩もお好きだそうですね。

ゆいにしお　今はまだ寒くてあまり行けてないですが、暖かくなったらほぼ毎日散歩しています。朝散歩をすると、自分は朝から活動できる人間だという自信にもなる気がしています(笑)。

――もうすぐ新年度を迎えますが、お仕事やプライベートでチャレンジしたいことがあったら教えてください。

ゆいにしお　音楽活動のほうだと、いろんなフェスに出てみたいです。自分で企画してもいいのですが、野外や屋外のちょっと景色の良い開かれた場所で、旅行気分で来てもらえるようなライブができたらいいなと思っています。プライベートでは、去年初めて一人旅をしてみて、とても楽しかったので、もっと一人旅をしてみたいです。

――一人旅はどこへ行かれたのですか？

ゆいにしお　大阪に1泊しました。もともと大阪に予定があったので、どうせなら観光もしてみようかなって。一人旅って寂しさを感じたりするのかと思っていたんですが、行ってみたらすごく楽しくて。一人で飲みに行ったりお風呂を満喫したりしました。今度は九州あたりでしっぽりとお酒を飲みたいです。

――最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。

ゆいにしお　いつもゆいにしおを聴いてくれてありがとうございます。私は自分の年齢に合わせて曲を作っているので、「今はこんなふうに感じてるんだな」とゆいにしおの経過も楽しみつつ、聴かれる方自身の過ごした時間を感じて大事にしていってほしいと思っています。「この曲がリリースされたときはこう思っていたけど、後から聴いてみるとこうだったのかもしれないな」と自分の人生と重ね合わせて答え合わせをしたり。そんなふうに、ゆいにしおの曲を日常使いしていただけたらうれしいです。

PHOTOGRAPHER：TAKUROU MIYAZATO,INTERVIEWER：YUKINA OHTANI