同級生の内海啓貴がきっかけで芸能界に入った

――キャリアについてお伺いします。どういうきっかけで芸能の世界に入ろうと思ったのでしょうか。

横田 小さい頃から仮面ライダーになりたいという夢がありまして、漠然と憧れがありました。明確になったのは高校生のときで、同級生に俳優をやっている内海啓貴がいまして。彼が「お前かっこいいな。芸能に興味はないの?」と言ってくれて、一緒にオーディション雑誌を買いに行ったんです。それに載っていた「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に応募して、審査員特別賞を受賞しまして、今の事務所に所属しました。

――ご家族の反応はいかがでしたか。

横田 実はその前に、家族が勝手に応募して、ある事務所さんのオーディションを受けたことがあるんです。合格こそしなかったんですが、いいところまで残って、そのときに母親が「もしかしたら、この子は芸能界に行けるんじゃないか」と思ったみたいで、快く応援してくれました。

――最初から俳優志望だったんですか。

横田 最初は有名になりたいだけでした(笑)。特にやりたいことも決まっていなかったのですが、もともと仮面ライダーになりたかったので、必然的に俳優というのはありました。

――「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」を受ける前に、将来に関して別の選択肢はありましたか。

横田 僕は福島県出身で、東日本大震災で被災したので、芸能界みたいに安定しない職業は難しいだろうなと諦めていたんです。家族のことも考えて、調理師が良いかなと考えていました。そのときに内海啓貴と知り合って、「芸能界に興味ないの?」と言われたので余計にうれしかったんですよね。それに親も「自分のやりたいことをやりなさい」と言ってくれたから、芸能の道に進むことができたんです。

――最初からお芝居に抵抗はなかったですか。

横田 何も知らないから抵抗感はなかったです。事務所に所属して、すぐに舞台のオファーをいただいたんですが、稽古場に行っても、そもそも稽古で何をするのかも分からないですし、台本の覚え方も分からない。上手・下手とか言われても、「何それ?」っていう状態で何もかもが未知でした、

――お芝居に力を入れていこうと決断したのはいつ頃ですか。

横田 2017年に初めてミュージカル『刀剣乱舞』に出演したとき、演出家さんに言われた一言が大きかったです。幾つかの舞台や映画に出演させていただいていたんですが、まだまだ芝居が分からなくて、かなりの駄目出しをいただいたんです。そんなときに演出家さんから僕一人だけ呼び出されて、怒られるのかなと思っていたら、「普段アスリートは何をやってると思う?」と聞かれて。「毎日練習でしょうか」と答えたら、「じゃあ今お前は何をやってる?」と言われたんです。「何もやってないかもしれないです」と答えたら、「だったらお前はプロじゃないな」と言われて。そうか、僕はプロの世界にいて、上手くなるために何か努力をしているかと言われたら、台本を覚えることに精一杯とか、そういうことばかりに気をとらわれ過ぎて、日々のトレーニングを怠っているなと感じたんです。その一言で、しっかりとお芝居に取り組まないといけないなと思いました。

――ミュージカル『刀剣乱舞』にはキャリアのある方から、横田さんと同世代の方までいらっしゃいますが、どんな学びがありましたか。

横田 僕のときは上の世代の方が多くて。そんな中で僕が稽古を止めてしまうことが多かったので、先輩方に申し訳なくて……。でも優しい方々だったので、「ここはこうやるんだよ」じゃなく、「こうしてみれば?」みたいな感じで教えてくださったので勉強になることばかりでした。

――もともとコミュニケーションは得意なほうでしたか?

横田 人見知りなので、最初は苦手でした。いまだに人見知りではあるんですが、何気ない会話でも芝居の勉強になりますし、緊張はしますけど昔と比べたら話せるようになりました。

――最後にオフの過ごし方を教えてください。

横田 短いお休みだと、部屋の掃除を一気にすることが多いんですが、連休だとキャンプに行くようになりました。去年から始めたんですが、僕は福島県の川内村出身なので、自然が大好きなんです。たまにそうやって都会から離れて、自然豊かなところでボケーっと過ごすのが好きです。

――田舎のほうが落ち着くんですか。

横田 それはありますね。いまだに「田舎に帰りたいな」と思うときもありますから。年に1,2回は絶対に帰省してお墓参りもしています。

――キャンプを始めたきっかけは?

横田 YouTubeでキャンプ動画を見ることにハマっていた時期があって、中でも「CartopboaterNORA」というチャンネルにハマったんです。あまり喋らずに、黙々とキャンプをしているんですが、それを見て、「俺もやりたい!」と。もちろん共演者の方々などと話している時間も楽しいんですが、誰にも気兼ねすることなく一人で過ごす時間は何ものにも代えがたいんですよね。

Information

イッツフォーリーズ公演 ミュージカル『鉄鼠の檻』

【東京公演】
日程:2024年6月14日(金)〜24日(月)
会場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

【大阪公演】
日程:2024年6月28日(金)〜29日(土)
会場:サンケイホールブリーゼ

原作:京極夏彦「文庫版 鉄鼠の檻」(講談社文庫)
上演台本・作詞・演出:板垣恭一
作曲・音楽監督:和田俊輔

出演:小西遼生 北村諒(Wキャスト) 横田龍儀(Wキャスト) 神澤直也 上田堪大
高本学 小波津亜廉 大川永 宮田佳奈 伊﨑右典
森隆二 吉田雄 近藤萌音 小原悠輝 藍実成 岡田翔大郎 山下真人
身内ソラ 光由 志賀遼馬 宮村大輔
松原剛志 福本伸一 内田紳一郎/畠中洋 ほか

主催・企画・制作:オールスタッフ / ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

舞台は昭和28年初春。古物商を営む今川雅澄は、明慧寺の僧侶、小坂了稔から〈世に出ることはあるまじき神品〉を買い取って欲しい、との依頼を受け、箱根山中の「仙石楼」に投宿する。食客として逗留していた老医師、久遠寺嘉親と碁を打つ日々を送りつつ、了稔からの続報を待つ今川。しかし、そんな彼の前に突如現れたのは、座禅を組んだような姿勢のまま死んでいる、小坂了稔の遺体であった。周りに足跡はなく、不可解な現場に旅館は騒然となる。一方、時を同じくして箱根を訪れていた憑物落としの古本屋、「京極堂」こと中禅寺秋彦と、その幼馴染で陰気な作家、関口巽も事件に巻き込まれてしまう。更に、神奈川県警の横暴な捜査に業を煮やした久遠寺が、探偵の榎木津礼二郎を呼んでしまったことにより、榎木津も事件に関わることに。やがて一行は、仏弟子たちが次々と無惨に殺される謎の巨刹・明慧寺を舞台にした「箱根山連続僧侶殺害事件」の只中に飛び込んでいくこととなるのだった。

公式サイト
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<ミュージカル「鉄鼠の檻」 ライブ配信決定!!>
【対象公演】 6月22日(土)13:00公演(全景映像)/18:00公演(スイッチング映像)
6月23日(日)13:00公演(全景映像)/18:00公演(スイッチング映像)
【料金】 4,400円
【販売期間】 6月14日(金)18:00~7月15日(月)20:00
【アーカイブ】 各公演終了後~7月15日(月)23:59
チケットぴあ

横田龍儀

1994年9月9日生まれ。福島県出身。「第25回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞を受賞。2015年、『宇田川町で待っててよ。』で映画初主演を務める。2017年よりミュージカル『刀剣乱舞』シリーズで物吉貞宗を演じ、好評を得る。舞台、ドラマ、映画と幅広く活躍。

PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:SHIO TANAKA