刑務所の受刑者と「今、ハマっていることはありますか?」と他愛ないやり取りを
――過去に、受刑者の方々と文通されているグラビアアイドルと拝見して、お話を伺いたかったんです。今も、お手紙での交流を続けていらっしゃいますか?
緑川ちひろ(以下、緑川) 続いています。ただ一時期、突発性難聴によって芸能活動を休止していたのもあり、頻度は減りました。今は、休止していた当時に返事できなかったお手紙を少しずつ返しています。受刑者の方が服役されている年数もまちまちですし、やり取りが一度きりで終わってしまう方もいれば、長く続いている方もいらっしゃいます。
――例えば、どのような内容でやり取りされるのでしょうか。
緑川 他愛ない内容がメインで「なぜ、服役されているのか」など、込み入った話題にはふれません。「お元気で」と励ましの言葉を添えて、刑務所での生活は気になるので「今、ハマっていることはありますか?」とか、「どんなご飯が出ましたか?」とか。話題は様々で、受刑者の方々も思い思いに返してくださいます。
――刑務所への興味を抱いた原点は、幼少期にあったそうですね。
緑川 父が警察官で、裏社会を扱う本が実家にあったんです。犯罪や刑務所をテーマとしていた本があり、のちに文通のきっかけとなった雑誌『実話ナックルズ』(大洋図書)もありました。物心ついてから、刑務所での生活に興味を持ち続けて、大学時代に受刑者の方々が刑務作業で作ったものを展示、販売する「矯正展」に足を運んで、さらに興味が強くなったんです。
――その後、会社員を経て芸能界に入られて。ラジオ番組のお仕事をきっかけに『実話ナックルズ』とのコラボを果たし、文通をされるようになったと。
緑川 女子刑務所についての連載を持たせていただいて、文通をしてみたいと編集部の方に話したら「手紙を書いたら、きっと返事が来るよ」とおっしゃってくださったんです。幼少期から興味はあったものの共有できる友だちはいなくて、芸能界へ入ってから事務所の方に「好きなものはある?」と聞かれたものが今こうして、仕事の柱になっているのも不思議です。