たとえ失敗したとしても、知恵がついて、新たな探求心で進んでいける
——大地さんは兵庫県出身ですが、今回の映画では岸和田弁を話されています。
大地 岸和田は関西でも独特のアクセントがあります。今ではあまり使わない表現もあるのですが、あえて当時の言葉を掘り起こして演じました。方言指導の方と岸和田弁については相談しながら進めました。
——曽根監督の演出はいかがでしたか。
大地 細かく指示するというよりは、カメラの動きも含めて理想的な形を探りながら進めていく方でした。曽根監督は撮影も担当されていたので大変だったと思いますが、演じる側としてはそれを気にすることなく、その場でディスカッションしながら撮影を進めることができました。
——映画の中で「年を取るということは、奇跡を起こす資格をもらえるということ」というセリフがありますが、高齢の世代にも勇気を与えるような言葉ですね。
大地 本当にそうですね。74歳から新しいブランドを立ち上げるというところも含めて前向きに生きた方ですし、観ていただいた方には「私も頑張ろう」と思っていただけるのではないでしょうか。私も演じているときはアヤコさんに共感して入り込んでいました。映画の撮影が終わった後も、「アヤコさんだったらこう思って、こう言うだろうな」とじっくりかみしめることが多いですね。
——コシノアヤコさんを知らない若い世代に、この映画の魅力を伝えるとしたら?
大地 やっぱり「何事も遅いということはない」ということでしょうか。やりたいと思ったことはやったほうがいい、失敗を恐れずにやるべきだ、というメッセージが伝わると思います。たとえ失敗したとしても、知恵がついて、新たな探求心で進んでいける。失敗することで学ぶこともたくさんありますからね。時代背景も変わっていく中で、変わらない信念で前向きに生きてこられたアヤコさんは、目標であり憧れですし、こんな風になれたらいいなと思います。そして強いだけではなく、最後まで乙女心のようなものも持っていらっしゃった。私は直接お会いしたことはないのですが、生前のアヤコさんを知る方からお話を伺ったり、アヤコさんに関する書籍を読んだりした印象としても、素敵な人生だと思います。