「絶対にこうなりたい」という自分の信念を持つことが必要
――東さんが十代だった頃のお話も伺います。何か打ち込んでいたことはありましたか。
東 テニスと書道です。どちらも小学3年生くらいに始めました。テニスは漫画の『テニスの王子様』がきっかけで興味を持ったんですが、当時は集団でやるスポーツが苦手で。僕は前へ前へと行きたがる子どもだったので、ソロプレイでできるテニスをやってみたら、どっぷりとハマって、中学卒業まで続けました。

――書道はどういうきっかけで始められたんですか。
東 父親から「字が綺麗じゃないと社会人になれない」と言われて始めたら、すごく楽しくて。
――どういうところに魅力を感じたのでしょうか。
東 自分らしさを出していいというのが書道の魅力で。もちろん模範の書はあるんですが、突き詰めていけばいくほど、自分なりの個性みたいなものが魅力につながっていくんです。アーティスト的な考え方でいうと、どんな形であれ、その人の表現になる。そういうところが好きなんだと思います。
――書道に限らず、アートにも興味はあったんですか。
東 僕の祖父が画家で、祖父の描いた水彩画が何枚も家に飾ってあったので、そういう面では小さい頃から、アートに触れていました。ただ僕が生まれた頃には、祖父は絵を描いていなかったので、直接教えてもらうということはなかったです。
――書道と絵で通じるものはあるのでしょうか。
東 対照的かもしれないです。書道は白と黒しかないので余白を大事にするんですが、絵を描いてみた時に、絵の具を混ぜ合わせて作る影や輪郭というのは、色でしか表現できないことなのかなと。絵の具を重ねれば重ねるほど何とも言えない色に近づいていく一方で、書道は曖昧さというか、余白で見える輪郭みたいなところがあります。どちらも素敵だと思います。

――最近は書道を楽しむことはあるんですか。
東 あまり筆を持てる時間はないですね。正直、普段書く文字は殴り書きみたいになっちゃっているので、改めて習いたい気持ちはあります。書道は集中力が磨かれますし、シンプルに字が綺麗だと、自分でも気持ちいいですね。
――子ども時代は前に出たいタイプだったとおっしゃっていましたが、今は集団で作品を作ることが多くなって、どう感じていますか。
東 協調性みたいなものは大事だと思うんですが、何かしら「前に出たい」という気持ちを持った人たちが集まっているので、そういう面では間違っていなかったというか、結果的に合っていたと思います。もちろん自分勝手にあれこれやっちゃうということではなく、「絶対にこうなりたい」という自分の信念を持つことが必要で。大人になって、協調性もつきましたけど、前に出るというのは今も大切にしています。
