他愛なく話せる青春時代の友達との絆は今も「大切」
――本作の核には、共に戦うサラとハリエットの「友情」があります。柚希さんご自身では、彼女たちのように今なおつながっている方はいますか?
柚希 はい、います。高校時代の親友とはずっと、今でも交流を持っています。一緒に旅行にも行ったりして、空気感もずっと変わりません。宝塚時代も変わらずでしたので、気持ちも楽でした。周囲から「宝塚のトップスター」と呼ばれていた時期も本名のままで呼び合って、宝塚の話もせずにいられる時間がありがたかったです。「柚希礼音だからそばにいる」というわけではない感じ、です。
――仕事とは切り離された場所で、安らげる仲間といいますか。
柚希 落ち着きますし、色々とツッコんでくれるのが面白いです。たとえば、インスタグラムでオフィシャルな投稿ばかりしていると「オフィシャルなことばかり載せているから面白くない」とか、「もっとプライベートなことを載せたら?」とか(笑)。芸能界とは異なる目線から、意見をくれるんです。じつは、その友達が宝塚を退団後にインスタグラムをすすめてくれて、当時はまだ、タカラジェンヌのインスタグラムは珍しかったのですが、始めるきっかけとなる「外の意見」を与えてくれました。
――柚希さんにとって、青春時代の友達はどのような存在ですか?
柚希 ここまで話したのは高校時代の友達ですけど、中学時代の友達とも仲良しで、当時のままでいられるのが幸せです。一緒にゴム飛びをしたり、先生にもたくさん怒られたり、たくさんの思い出を分かち合った友達と今になっても他愛もない話をしているのは、大切な絆です。大人になって、たがいに色々な世界へ行ってもつながっていられる仲間だから、今を生きる子たちにもその関係性を大事にしてほしいなと思います。
――最後、ティーンへのメッセージをお願いします。
柚希 私は、クラシックバレエのバレリーナになるという夢がありました。ずっと頑張っていたけど、背が高いのもあり周囲から「宝塚を受けてみたら?」と言われて育ってきたんです。当時は「嫌だ、バレエの道に行くんだ」と思っていて渡米も考えましたけど、体型が大きくバレエ界で食べていくのも難しいと思い、一度は夢をあきらめました。でもその先で、宝塚音楽学校に入学してからは「のびのびと手足を伸ばして表現していいんだ」と気がついて、自分に合っている場所へ入ったことで気持ちが解き放たれたんです。だから、本当は皆さんに「夢は絶対叶うから、突き進め!」と言いたいところですけど、そうも言えないといいますか。クラシックバレエだけが好きだと思っていた私は、宝塚に入ってから「踊り全般が好き」と気がついて、歌やお芝居を学んで「ストーリーのあるダンスが好き」と夢も広がったので、実際の世界を見た上で言ってくれる大人の意見にも耳を傾けつつ、自分のやりたい道へと進んでほしいです。
Information
FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜
東京公演
2023年6月5日(月)〜13日(火)
東京国際フォーラム ホールC
福岡公演
2023年6月24日(土)〜25日(日)
キャナルシティ劇場
大阪公演
2023年6月29日(木)〜7月2日(日)
COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
EDITOR:,PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:SYUHEI KANEKO,HAIR&MAKE:EIKO SATO(ILUMINI.INC.),STYLIST:Yüki Mayama(MØ)