メンバー自らが監督として勝負する現場に立ち会いたかった
――『GOLDFISH』は80年代に活躍した日本のパンクバンド・亜無亜危異(アナーキー)のギタリストである藤沼伸一さんが監督を務めています。亜無亜危異は世代的にピッタリですね。
永瀬 もちろん知っていました。これは監督にもまだ言ってないんですけど、自分のバンドで亜無亜危異バージョンの「ジョニー・B.グッド」(※原曲はチャック・ベリー)をカバーしたこともあるんですよ。
――最初に本作への出演を聞いた時は、どのように感じましたか?
永瀬 純粋にうれしかったです。藤沼さんご本人が監督をされるっていうのもありますけど、何より脚本が面白かったのでぜひやらせていただきたいと。バンドの歴史や時代背景なんかも漠然と把握していましたしね。メンバーの方が自ら監督として勝負なさるということですから、やっぱり現場には立ち会いたいじゃないですか。
――演奏の練習にはかなりの時間を割いたのですか?
永瀬 監督にいろいろと教えていただきながらやりました。なんせ僕はギターをクビになった男ですから(笑)。
――全く違和感なかったです。
永瀬 それは上手く撮っていただいたのと、監督の指導のおかげだと思います。目の前で弾いてもらったりもしましたし、最終的にギターまでいただいちゃって。それもうれしかったですね。
――役づくりの上で意識したことや、こんな風に演じようといったプランはあったのでしょうか?
永瀬 バンドの匂いだったりまとっている空気感だったりっていうのはもう、ご本人が目の前にいらっしゃいますんで、とにかくそれを浴びようっていう。まぁ、本作は『ボヘミアン・ラプソディー』や『ロケットマン』のような自伝的アプローチではなく、あくまで亜無亜危異をモデルにした「ガンズ」というバンドの物語なので、100%コピーする必要はなかったんです。リアルなエピソードや監督の想いは色濃く反映されてますけど、あくまでも架空の設定なので、そこは監督と話しながらつくり上げていきました。
――ぜひここに注目して観てほしい、というポイントがあれば教えてください。
永瀬 今、散々パンクだの音楽だの亜無亜危異だのと言ってきて、若い世代の方に伝わりづらいかもしれない話なんかもしてきましたが、この作品を観てもらうと、今抱えているモヤモヤを晴らすような、何かヒントになるようなものがあるんじゃないかと。僕の娘役として高校生の子も登場しますしね。まぁ、そんなに大袈裟なものではないかもしれないけれど、何か気づいてくれちゃうかもね、っていう。そうだとうれしいな。
――若い世代だからこそ、刺さるものがあると。
永瀬 そうですね。もちろん、これをきっかけに音楽を好きになってもらったりとか、それこそ亜無亜危異を知ってもらったりするのもうれしいですし。あんまり固定観念を持たずに観てもらえたらと思います。