ミュージカル『テニスの王子様』がきっかけで演技にのめりこむように
――ご自身のキャリアについてお伺いします。俳優になろうと思ったきっかけを教えてください。
木村 将来を想像した時に、デスクワークをしている自分の姿が見えなかったんです。かといって俳優になって演じている姿も想像していたわけでもないのですが、表に立つ仕事がしたかったので事務所に所属しました。最初に受けたオーディションがミュージカル『テニスの王子様』で、そこで舞台の楽しさを知り、のめりこむようになりました。
――もともと人前に出て表現するのは好きでしたか？
木村 恥ずかしがり屋なのにモテたがりという性格で。でも、人を楽しませてみんなが笑ってくれているのが好きでした。
――相反していますね(笑)。
木村 人前に出るのはめちゃくちゃ恥ずかしいけど、こんなことで恥ずかしがっている俺はダサくないか？みたいな(笑)。
――俳優を続けていこうと決断されたのはいつ頃ですか？
木村 20歳の頃です。その頃は大学生で学業と両立しながらやっていました。僕がデビューしたミュージカル『テニスの王子様』は、若手俳優の登竜門と言われている舞台で、皆、本気でこの世界に挑んでいましが、僕は「この世界で成功しなかったら大学で頑張ればいい」という保身の考えがあり、なめくさっていたんです。もちろん、本気で食らいついている人たちに勝てなくて、この仕事に集中するために一度大学を休学することにしました。休学して仕事に集中して、自分がどう思うのかを知りたかったんです。
――実際に休学してどう思われましたか？
木村 仕事だけに集中できるようになり、より演技にのめりこむようになりました。そこで、この仕事一本でやっていく決意が固まりました。
――ミュージカル『テニスの王子様』はどういう気持ちで臨まれていましたか？
木村 プロデューサーからは、「ミュージカル『テニスの王子様』はあくまで一つ目の階段であり、もっと上を目指して欲しい」と言われていたので、通過点とは思わないけど、ここでダメになるようじゃいけないという気持ちが強かったです。
――演じることに恥ずかしさを感じませんでしたか？
木村 今でも演じることは恥ずかしいし、初めましての稽古場でも常に感じています。恥ずかしさを感じるのはダメなことだと思っていたけれど、自分をさらけ出して、作品を作り上げていくわけだから恥ずかしさを感じて当たり前なんですよね。演技はそもそも嘘だし。最近は当たり前の感情なんだと思うようになりました。
――最後にキャリアを考える若い世代の読者に向けてアドバイスをお願いします。
木村 やりたいことがあるのに、誰かの意見で心が揺らいでしまう人は、夢を叶えるための土台が固まっていないんだと思います。運やタイミングの要素もあるけど、夢に向かってちゃんと頑張っていれば、土台が固まり、自ずと道が開けてくるはずです。「本気で頑張った！」と心から言いきれる人は多くはないと思うけど、僕は頑張っています(笑)。一生に一度しかない今日という日を、歯を食いしばって頑張って生きてください。そうしたら、いい道が開けてくると思います。
Information
PARCO 劇場開場 50 周年記念シリーズ 『新ハムレット～太宰治、シェイクスピアを乗っとる！？～』
公演日：６月６日(火)～６月25日(日)
会場：PARCO 劇場（渋谷 PARCO 8F）
チケット料金：11,000円 U-25チケット＝6,000円
［観劇時25歳以下対象、要身分証明書(コピー・画像不可、原本のみ有効)、当日指定席券引換/「パルステ！」、 チケットぴあにて前売販売のみの取扱い、指定席との連席購入不可（連席ご希望の場合は指定席をご購入ください）]
※未就学児の入場はご遠慮ください。
キャスト：木村達成 島崎遥香 加藤諒 駒井健介／池田成志 松下由樹 平田満
作：太宰治
上演台本・演出：五戸真理枝
デンマークの首府、エルシノア。国王が突然崩御し、弟のクローヂヤス（平田満）が即位、先王の妻で王妃のガーツルード（松下由樹）と結婚する。侍従長ポローニヤス（池田成志）の息子レヤチーズ（駒井健介）が遊学に出かける一方、遊学を認められない王子ハムレット（木村達成）は、定められた運命と、叔父であり義父となった クローヂヤス、母ガーツルード、そして恋人でありポローニヤスの娘でもあるオフヰリヤ（島崎遥香）との関係に思い悩む。そんな折、友人ホレーショー（加藤諒）から先王の亡霊が現れるという噂を聞きつけ、ハムレットはクローヂヤスが父親を殺したのではないかと疑念を抱き始める。泣き虫のハムレット、秘密を抱えるオフヰリヤ、敬語を絶やさない王クローヂヤス・・・『ハムレット』と同じ役名ながらも一味違う、悩める登場人物たちの行く末やいかに！
お問合せ：パルコステージ 03-3477-5858 （時間短縮営業中）
木村達成
1993年12月8日、東京都出身。2012年ミュージカル『テニスの王子様』でデビュー。主な作品に、舞台「銀河鉄道の夜2020」「ジャック・ザ・リッパー」「SLAPSTICKS」「四月は君の嘘」「血の婚礼」「管理人」「マチルダ」、テレビ「オールドファッションカップケーキ」など。
PHOTOGRAPHER：YU TOMONO,INTERVIEWER：TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE：SAORI SAITO,STYLIST：SHOGO HESAKA
