地元に居場所がなくて、自立できる仕事を考えてオーディションを受けた

――学生時代は生徒会長を務めたそうですね。

山﨑 小学校でも中学校でも生徒会長をやっていたんです。自分から立候補したんですけど、それには訳があって。私は何をしても浮いていて、それが原因でいじめられた時期があったんです。だからこそ自分から目立ちに行かないと辛かったんですよね。

――浮いている自覚はあったんですか?

山﨑 自分では分からなかったんですが、周りから「お前は変だ。浮いてる」ってハッキリ言われていました。私は学校に行ったら、全員に「おはよう」って言って回ったり、何かあったらハイタッチしたりと、アメリカンなコミュニケーションを取る生徒で。私のように屈託なく明るいタイプって、思春期だとよく思わない子もいるんですよね。

――優等生ぶっていると捉える人もいるかもしれないですね。

山﨑 なので自分から目立てるポジションに行ったほうが、みんなに馴染めたんです。あとバスケットボール部だったんですけど、バスケができなさすぎて部活に行きたくないっていう理由で生徒会をやってたところもあります(笑)。

――人をまとめるのは得意なんですか?

山﨑 それが、まとめられたことが一度もなくて、副会長に全部やってもらっていました。いつも、しっかりした子が私に付いてくれるので助かりました。私の役割は、全校挨拶で活気づけることでしたね(笑)。

――目に浮かびます(笑)。それだけ昔から舞台度胸があったということですよね。

山﨑 おそらく人一倍、羞恥心みたいなものを感じにくい性格なんでしょうね。なのでお芝居を始めた頃も、先生は「見られてる感や、やってる感が恥ずかしいという感情が壁になりやすい」と仰っていて、その壁をなくしましょうっていうレッスンが多かったんですけど、私には元々それがなくて、一つのことに入りこめるタイプなんですよね。だから人前に出るのは得意なんだろうなと思います。

――芸能界に入ったきっかけはオーディションですが、どうして受けようと思ったんですか?

山﨑 早く地元を出たいなと思っていたんです。先ほどお話ししたように、あまり地元に自分の居場所というものを感じなかったので、高校受験の時期に、ずっと悩んでいて。1人でやっていける仕事を見つけたいなと思った時に、デザイン系の学校に進むかどうか、すごく悩んでいたんです。そんな時にオーディションの広告を見つけて、試しに受けてみたら、今の事務所に声をかけていただきました。

――もともと芸能界に憧れていた訳ではないんですね。

山﨑 あまりこだわりはなかったですね。でも、この世界を知れば知るほど、こだわりを持つことの大切さを感じます。

――15、16歳の若さで大きな決断をできるのはすごいことです。

山﨑 振り返ってみると、地元に残って、普通に学校に行って、就職をしてって未来が見えなかったんです。あと、その頃から「人は人。私は私」っていう考え方がめちゃめちゃあって、みんながどういう選択をしていてもいいなと思っていたんです。自分に合う選択ができたなら、周りと違う価値観を持っていてもいいんじゃないかと。私は私の生き方を模索しなきゃいけないと思い続けていましたし、協調性がなくて、集団で生きられないタイプという自覚があったので、一人でできる仕事が性に合っていたんです。

――上京して、芸能活動を始めて、すぐに自分に合っているなと感じたんですか?

山﨑 そうですね。活動が上手くいかなかった場合は、全部の原因が自分。そういう自分との戦いというステージのほうが、私は逆に気楽でした。たまに「ストイックだね」って言ってもらえるんですけど、私にとってストイックって力の加減とかではなく、自分に合ったことをやっていたら、自然とそういう行動を取っているんです。

――どういう時に仕事のやりがいを感じますか?

山﨑 『赤い私と、青い君』という短編映画でW主演を務めさせていただいたんですが、クラウドファンディングで製作した作品で。返礼で上映を観ていただいたお客様に、「就活に悩んでいたけど、気持ちが楽になれた」「悩んでいた昔の自分を思い出した」と感想をいただけたのがうれしくて。ちょっとでも観てくださった方々の背中を押したり、心に寄り添えたり。そういう作品に携われたり、自分の芝居によって誰かの心を温められたりした時にやりがいを感じます。あと仕事でご一緒した方に、「一緒にいると元気が出るよ」と言ってもらえた時もやりがいを感じますね。

Information

ドラマParavi「隣の男はよく食べる」
毎週水曜、深夜24時30分よりテレビ東京で放映中

出演:
倉科カナ 菊池風磨(Sexy Zone)
山田真歩 ドロンズ石本 松永拓野
山﨑果倫 小林リュージュ イマムラキョウカ 花岡翔太

大河内麻紀(倉科カナ)は35歳で彼氏いない歴・約10年。これといった出会いもなく、気づけば女性としていろんなところが疎かになっていた。恋はしたいけれど、もういい歳だし流される恋愛はしたくない……。そう思っていた麻紀の前に現れたのは、隣の部屋に住む年下イケメン男子・本宮蒼太(菊池風磨)。蒼太との出会いで麻紀の止まっていた恋愛の歯車が動き出す!?

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山﨑果倫

1999年10月8日生まれ。愛知県出身。2015年、レプロエンタテインメント×Sony Music合同主催オーディション「DREAM GIRL AUDITION2015」を経て事務所所属。所属後は舞台「ローファーズハイ‼」(@浅草九劇)での公演で演技経験を積む。2023年は主演映画『夢の中』、W主演映画『赤い私と、青い君』の公開の他、映画ヒロイン出演、ドラマレギュラー出演など幅広く活躍している。

PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI