直近の大きな目標はもう一度、単独で武道館に立つこと | 宮川大聖「痛みを知るのは大切なこと」 INTERVIEW

直近の大きな目標はもう一度、単独で武道館に立つこと

――いつ頃から、この世界でやっていこうと思ったんですか。

宮川　動画投稿が一番大きなポイントだったんですけど、そこからライブを重ねたり、少しずつライブ会場が大きくなったり、レーベルから声を掛けていただいたり。さらに2019年7月には日本武道館で単独ライブをさせていただいて。音楽人生におけるターニングポイントが幾つもあって、その分プレッシャーだったり、いろいろ背負うものが多くなってきたりして。そういうことを通過していくたびに、自分はアーティストなんだという自覚を持つようになりました。

――宮川さんが音楽でやっていくことに、家族はどんな反応だったんですか？

宮川　今から６年ぐらい前に、音楽でやっていきたいと真剣に相談するようになって。その頃には父も母も、僕のネットでの反響を知ってくれていたので、「とにかくチャレンジしてみろ」と。「駄目だったら駄目で、いろんな道はあるから、自分のやりたいことを全力でやることが大事だから頑張ってみろ」と言ってくれました。

――初めて自分で作詞作曲を手掛けた「スターランド」は、どのように生まれたのでしょうか

宮川　音楽的な影響はflumpoolさんを始め、いろんな方から受けたんですけど、ずっと自分が書きたい曲を書いて歌いたいと思っていて。それで初のメジャーミニアルバム『STAR LAND』の表題曲は、絶対に自分で作詞作曲をしたいなと思ったんです。どんな曲を書こうかと考えた時に、中学生まで式根島で生活をしてきて、その環境で育たなかったら今の自分はないと思っていたので、その恩返しじゃないですけど、感謝の気持ちを込めて、式根島の星空をイメージして書いたのが「スターランド」です。

――順調に活動を続けていましたが、2020年にコロナ禍が襲い掛かり、思うような活動もできなかったと思います。当時のモチベーションはいかがでしたか。

宮川　自分でもびっくりするぐらい特大ダメージを食らって、めちゃめちゃ落ちました。メンタル面もそうですし、実際にツアーが1本まるまるなくなっちゃいましたからね。約１年間、活動休止の期間をいただいていました。その時期は何も考えられなくなって、気づいたら1年経ってい

たんです。そういう時期にいっぱい曲を作れたら良かったんですけど、それどころじゃなくて。楽しみにしてたものが全部なくなってしまったのが本当に辛かったんです。

――活動休止期間中は、人とも会わなかったんですか？

宮川　誰とも連絡も取らず、完全に殻に閉じ込もってしまって……人生で初めての経験でした。それまでは根性で全てを乗り切るタイプだったので、そういうことは自分の人生では起きないだろうと思っていたんですけど、そんなことはなかった。あまり人に頼れるタイプでもないので、鬱々としたものを自分の中に閉じ込めていたんです。

――そんな状況を、どうやって脱したんですか？

宮川　落ち始めた時はリスナーさんからの声も聞けなかったんですけど、少しずつ人と接するようにして、徐々に徐々に、しんどかった時期を脱することができました。その時期は、応援してくださっている方のメッセージだったりコメントだったり、声援にも支えられました。

――そんな空白の期間が、後に活かされた部分もありますか。

宮川　今回の「光」は、そういう経験があってからこそ書けたものだなと思っていますし、今となっては貴重な経験ができたなと思っていて。そう考えると、痛みを知るって大切なことなんですよね。

――今後のビジョンをお聞かせください。

宮川　直近の大きな目標として、もう一度、単独で武道館に立ちたいというのを掲げています。動画投稿をきっかけに世に出させていただきましたが、なんだかんだでステージに立って表現している時の自分が一番輝いていると思っています。ネットで発信するのも楽しいんですけど、やっぱり生で曲を聴いていただいたり、パフォーマンスを観ていただいたりするのはうれしいですし、やりがいもあります。自分の作る楽曲には絶対の自信があるので、武道館という目標に向けて、ここまで音楽を本気でやっているんだぞというのを多くの方に知っていただく機会を増やしていきたいです。

PHOTOGRAPHER：TOMO TAMURA,INTERVIEWER：TAKAHIRO IGUCHI