松原智恵子さんの上品な可愛らしさに感激

――撮影期間が近かったこともあり、上西監督は『ヌーのコインロッカーは使⽤禁⽌』と『ひとくず』は対になる作品だと仰っていましたが、演じている側として同じことを感じましたか?

古川 『ひとくず』で私は育児放棄をする母親という、ヌーとは正反対の役柄を演じているので、そういう意味では対になる作品かもしれませんね(笑)。

――振り幅の大きい役を演じられましたが、切り替えられましたか?

古川 私は役を引きずらないタイプなので、1日寝たら元に戻ります(笑)。役が染みついて苦しいですという感覚がなくて、ヌーちゃんを演じている間は、ずっとヌーちゃんでいることができたと思います。

――共演者から見て、上西監督のように監督も演技もされる方はいかがですか?

古川 天才としか言いようがないですね(笑)。上西監督がいないと組が回らないですし、頭の回転が速くて、脳みそを少し分けてほしいと思うくらい。必死で追いつこうとはしているのですが「追いつかなさ過ぎてすいません」といつも思っています(笑)。

――監督が悩んで撮影が止まることはないのですか?

古川 逆に、私たちが悩んで止めて、それを監督が全部解決して「次いくぞ!」と舵を切ってくれる。それについていっている感じです(笑)。

――現在上映中の『宮古島物語ふたたヴィラ』についてお聞きします。脚本を読んでどんな印象を受けましたか?

古川 上西監督から、スポンサーの柴⼭勝也さんをメインにして映画を撮るという話を聞いてから、「脚本ができたから読んで」と言われるまでが一瞬で。すぐに脚本のデータが送られてきました(笑)。一部東京でも撮影したところもありますが、ほぼ宮古島でのロケというのは初めてで、とても新鮮でした。

――宮古島に行ったことはありましたか?

古川 同じく上西監督の映画『ねばきば新世界』で初めて宮古島に行って、そこで柴山さんとのご縁ができたんです。

――ロケーションが素晴らしいですね。

古川 島民の方々が本当に温かくて、海と空、島全体の美しい景色に囲まれて演じることができてとても素敵でした。

――いつぐらいに撮影されたのですか?

古川 9月ぐらいです。めちゃくちゃ暑くてみんな焦げてました(笑)。監督も相当日焼けして、インした時とは全く違っていました。

――自分を捨てた父親を恨む、碧海陽葵を演じられました。

古川 陽葵に関しては、監督から「バリバリの関西弁でやって」と言われて演じました。ルビー・モレノさんと親子役をさせていただいたのもすごくうれしかったです。

――松原智恵子さんとの共演はいかがでしたか?

古川 最初はすごく緊張しました。お綺麗だし、チャーミングで可愛らしくてお上品で。「人生で怒ったことがないんです」って仰っていたのを聞いてすごい人だなと(笑)。お芝居をされている間は、ずっとかぶりつきで見て学んでいました。