上西監督に出会って人生が変わった

――キャリアについてお聞きします。役者になろうと思ったきっかけを教えてください。

古川 役者は突然始めることになったんです。役者をする前は、高校を卒業してから服飾関係の会社に就職して働いていました。24歳の時にそこを辞めて、母から「早く次の仕事を探しなさい」と言われたことにカチンときて、手元にあったオーディション雑誌についていた応募用紙を使ってやみくもに応募したんです(笑)。1社から「オーディションがあるから来ませんか」と言われ、そこの事務所に入ることになりました。

――ご自宅にオーディション雑誌があったのですか?

古川 母が本屋で見つけてなぜか買っていたらしいです(笑)。

――それまで、俳優のお仕事には興味がありましたか?

古川 一度もありませんでした。ずぶの素人から始めて、演技のレッスンを8年間も続けたけど鳴かず飛ばずで。もう続けるのはムリだと思っていた私に声をかけてくれたのが上西監督だったんです。偶然ですが、私が所属することになった事務所で演技を教えてくださっていたのが上西監督の師匠にあたる芝本正先生で。芝本先生の劇団の舞台を上西監督が観に来られたことがきっかけで、出会いにつながりました。その後、監督が主宰するテンアンツの舞台に誘っていただき、そこで舞台の楽しさを知りました。

――舞台はどういう部分が楽しかったんですか?

古川 芸能事務所では映像用のお芝居が中心だったので、最初は舞台の演技に苦手意識があったのですが、発声練習から演技の基本まで、上西監督が懇切丁寧に教えてくださって、稽古場に行くのが楽しくなりました。監督に出会っていなかったら、私はここにいません。

――いつ転機が訪れるか分からないですね。

古川 本当にそうですね。松原智恵子さん、津田寛治さん、加藤雅也さん……、テレビで見ていた方たちと普通にお仕事している自分が不思議過ぎて。「なんで私この人たちと普通に喋っているんだろう」と思うことがあります(笑)。すべて監督の人脈のおかげで、感謝しかないですね。恩返ししたいと思って頑張っています。今は上西組でコンスタントに作品が作れているので、このままずっと続けていきたいですね。

――上西監督はすごいペースで映画を撮られていますよね。

古川 他の方からしたら「どうなってるんですか?」と思われるペースですよね(笑)。「それができるいい環境にいるんだね」と皆さんに言っていただけるので、しんどいけれど恵まれてるなと思います。

――上西監督の作品以外に出る時は、どういう気持ちですか?

古川 知っているメンバーがいないから緊張はします。「これだけやってきているんだから、自信持ってやっておいで」と監督が送り出してくださるので、落ち着いて演技するようにしています。今後は、もっと映像のお仕事も増やしていきたいです。

――読者のティーンに、『宮古島物語ふたたヴィラ』と『ヌーのコインロッカーは使用禁止』の見どころを教えてください。

古川 『宮古島物語ふたたヴィラ』は、心から願った再会が叶う、家族の絆と再生を描いた心温まるストーリーです。宮古島の綺麗な海と空の映像美に癒されながら、リラックスした気持ちで楽しんで観ていただけると思います。『ヌーのコインロッカーは使用禁止』は私が初めて主演をさせていただいた作品で、発達障害を背負った女の子を演じ、新しい挑戦をさせていただきました。愛情が詰まった作品なのでぜひ観てください。

Information

『ヌーのコインロッカーは使⽤禁⽌』
6月22日(木)まで 下北沢トリウッド(東京)
7月7日(金)〜 長野千石劇場(長野)
7月14日(金)〜 フォーラム仙台(宮城)
7月22日(土)~7月26日(水) 玉津東天紅(大分)
近日公開 別府ブルーバード劇場(大分)

キャスト:古川藍 上⻄雄⼤ 徳⽵未夏 ⼯藤俊作 城明男 ⾕しげる 剣持直明 空⽥浩志 速⽔今⽇⼦ 阿部⼤将 久藤今⽇⼦ ⽥中要次 菅⽥俊 ⽩川和⼦ ⽥村亮(特別出演)
脚本/監督/プロデューサー:上⻄雄⼤
エグゼクティブプロデューサー:中⽥徹 平野剛 ⾼橋鋭⼀ 中島義和
監修:楠部知⼦(三国ヶ丘病院)
企画/制作:10ANTS
撮影/照明:前⽥智広 川路哲也 ⽊根森基
編集:上⻄雄⼤ 川路哲也 Na Seung Chul
録⾳:廣⽊邦⼈
⾳楽/整⾳:Na Seung Chul 主題歌 『ヌー』
作詞/作曲/唄:⼭崎ハコ 挿⼊歌 『枯れた河』
作曲/唄:梁原三
作詞:上⻄雄⼤
題字:オガワヨウヘイ
絵画協⼒:⼭﨑宥

知的障害者の那須叶(なすかなえ)通称ぬー。彼⼥は⺟親を求めながら、⾚ん坊の頃捨てられたロッカー“ぬ5515”を守り続け、毎⽇コインロッカーの前で絵を描き続けていた。ある⽇、刑務所から出所した男・⿊迫和眞(くろさこかずま)と出会う。⿊迫は、別れた妻⼦に⾦を送る為、現在はヤクザである友⼈の⽊嶋から紹介してもらった覚醒剤売買で⾦を稼ぐ。ヌーのコインロッカーの傍で覚醒剤売買をしながら次第にヌーに興味を持ち、思いつきでSNSでヌーの絵をアップし始める。海外の有名アーティストから絵を買いたいとの連絡が⼊り、⾼額で売ろうとした⿊迫だったが、ヌーの純粋な⼼に触れ良⼼が⽣まれる。そんな時、ヌーが⽩⾎病により倒れ余命を宣告される。⿊迫はヌーに、適合した⾃分の⾻髄を移植するが、覚醒剤売買が発覚し、警察に連⾏される。病院を抜け出し冷たい⾬に打たれながら⿊迫を追って警察署の前で再び倒れたヌーは、無理が祟り亡くなってしまう。釈放された⿊迫はヌーの担当施設職員・瀬⼾瑠璃⼦によって、ヌーが⿊迫へ残した沢⼭の絵と想いを受け取る。

公式サイト

YouTube

『宮古島物語ふたたヴィラ』
7月7日(金)〜 長野千石劇場(長野)

キャスト:柴⼭勝也 古川藍 徳⽵未夏 上⻄雄⼤ ⾚井英和 津⽥寛治 ルビー・モレノ ⾼樹澪 丈 波岡⼀喜 松原智恵⼦
スタッフ:
脚本/監督:上⻄雄⼤
プロデューサー:上⻄雄⼤
エグゼクティブプロデューサー:柴⼭勝也 上⼭勝也 草刈健太郎
撮影:吉沢和晃 吉⽥淳志 北⽥祥喜
企画/制作/配給:10ANTS ⓒ上⻄雄⼤ 2022 年/⽇本/カラー
協賛:株式会社リゾートライフ 串かつだるま カンサイ建装⼯業株式会社 株式会社⼤剛
協⼒:株式会社リゾートライフ クリスタルヴィラ宮古島砂⼭ビーチ しゃぶ庵 シティライフ宮古ラブニール 株式会社パック 雪塩ミュージアム みやこ下地島空港 宮古製糖株式会社 かんかん堂 クラブTONMI 壱場⾷堂 宮古テレビ

バブル経済の破綻と共に、そのあおりを受けた⼤阪にて不動産業を営む男 碧海貴吉は失意のまま⼤阪から宮古島にやって来る。⾃殺をしようとしたその時、亡くなった⽗・勘吉が現れ貴吉に叱咤する。ウミガメを⾒せた後「あの丘に⼩さなホテルを作れ。そしてその裏の砂浜にこのウミガメを放て…そうしたらそこは⼈を救う再開の場となり、お前の⼈⽣も救ってくれる」と⾔って消えていく勘吉。勘吉の⾔葉通り、ヴィラを建てる貴吉。やがてそこは泊まれば⼼から願う再会を叶えてくれる「ふたたヴィラ」と呼ばれる。時は流れ、宮古島へ降り⽴つ碧海陽葵。⺟と⾃分を捨てた⽗貴吉を恨むが、その⽗が亡くなり内縁の妻⽢潮優実に呼ばれ渋々来たのだった。貴吉の造り上げたヴィラに連れられ、そのヴィラに訪れる家族や島の住⼈達と触れ合う。漁師の⽗に反抗し島を出た息⼦ 南城津吉は、都会で上⼿く⾏かずヤクザに追われながら島に戻るが、殺したヤクザの家から引きこもりの娘を連れ歩く。久しぶりに会った⺟ 南城寿⼦は認知症により⾃分の息⼦が分からなくなっていた。新型コロナウイルスによって夫を亡くした村川叶は、娘村川愛那と共に再会を果たせるヴィラに願いを込めて訪れていた。⾏⽅不明になった娘を探す夫婦は、娘に似た⼈が宮古島に居るという情報を聞きつけ訪れる。其々の家族が「ふたたヴィラ」によって、ほつれた想いをほぐし新しい絆をゆく。陽葵は、⺟ジェニファーが娘が⾃分から離れることを恐れ⽗について嘘をついていたことを知らされる。⽢潮から⽗貴吉の想いを聞き、「ふたたヴィラ」継ぐことになる。天使となった貴吉は宮古島の美しい空と海で⾒守り続けてゆくーーー。

古川藍

俳優

1985年6月10日生まれ、大阪府出身。映像劇団テンアンツ所属。映画や舞台を中心に活躍。映画『ひとくず』北村凛役で、第7回ニース国際映画祭助演女優賞、マドリード国際映画祭2019助演女優賞を受賞。主な出演作に『コンフリクト2.3』 (18)、舞台「ヌーのコインロッカーは使用禁止」(18)、「もぐらのむすめ」(17)など。

PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI