舞台は時間をかけて濃縮度を上げていくような感覚

――ターニングポイントになった作品は何でしょうか?

入江 いい刺激を与えてくれた仲間に出会えたという作品で言うと、2009年に出演したドラマ『恋して悪魔〜ヴァンパイア☆ボーイ〜』です。中山優馬くんが主演で、仲野太賀くんや染谷将太くんなど同じ年の役者さんが出ていて、いろいろなお話をさせていただきました。太賀くんに岩井俊二監督の映画『花とアリス』のDVDを貸してもらったり、染谷くんと二人で『ブルーマン』という舞台を観に行ったり。このドラマで出会った方たちの影響は今も大きいです。

――出演舞台で印象に残っている作品は何でしょうか?

入江 二十歳のときに出演した、三谷幸喜さんが演出されたニール・サイモンの戯曲『ロスト・イン・ヨンカーズ』です。オーディションに合格して参加させていただいたのですが、共演が松岡昌宏さん、中谷美紀さん、小林隆さん、浅利陽介さん、長野里美さん、草笛光子さんと錚々たるメンバーで、稽古から公演まで3か月間ぐらいあったんですけど、その期間はすごく勉強になりました。映像作品はスケジュールもタイトなことが多いので、なかなかお芝居を煮詰める時間が取れなかったりするんですけど、舞台は数か月に渡ってとことん突き詰めていくので、プロの仕事している姿を直に触れることができました。

――その他に舞台と映像の違いはどういうところに感じますか。

入江 映像はどちらかというと、居合斬りに近いというか、武士が急に道で会って戦うように、何も知らない相手と、いきなり役というものでぶつかり合う。舞台はそうではなく、時間をかけて濃縮度を上げていくような感覚です。

――舞台のやりがいはどんなときに感じますか。

入江 舞台は何度も同じことを繰り返しますけど、繰り返すからこそ気付けることに出会えたりするんです。そういったときにやりがいを感じますね。あと、同じことをしているはずなのに、絶対に同じことにはならない。そういう面白さもありますし、やっぱり一つの作品に長く向き合える貴重な時間は舞台ならではの醍醐味ですね。

――舞台は体力も必要ですが、どんな体作りをしていますか。

入江 ジムに通って定期的に鍛えています。事務所の方針として「体作りは仕事にも繋がっていく」と強く掲げていた時期があって、それをきっかけに、僕も体を動かすようになって、鍛えることが好きになりました。鍛えるとモチベーションを保つことにも繋がるんですよね。頭の中で考え過ぎても解決しないこととか、モヤモヤってあると思うんですけど、やっぱり体と心は別物で、体を動かすと、悩んでいたことも、どうでもよくなったり、新しい考え方が浮かんだりするんです。

――今年がデビュー15周年ですが、どういうお気持ちですか。

入江 あまり実感はないですけど、決して自分の力だけではないですし、ここまで続けられたことに感謝ですね。芸能活動15年って当たり前のようで当たり前じゃないことなので、恵まれているなと思います。お世話になった方々に、僕に期待をして良かったと思ってもらえるような成果を上げていきたいです。