ラウールさんは真面目で物腰が柔らかくて、しっかりされている方

――ドラマ『愛の、がっこう。』の出演はオーディションで決まったそうですが、どういう意気込みで臨みましたか?

荒井啓志(以下、荒井) 今回の演出は西谷(弘)監督ですが、僕は学生時代から、ドラマ『昼顔』シリーズなど、西谷監督の作品を観ていたので、ワクワクした気持ちでオーディションに臨みました。

――決まったときのお気持ちはいかがでしたか?

荒井 まさか自分が西谷監督の作品に出演できるなんて思ってもいなかったので、初めは実感が湧かないというのが正直な気持ちでした。もちろん自分が作品に携われるうれしさは大きかったです。大事な役を任せていただいていると思うと、日を追うごとに緊張感は増しています。

――荒井さん演じるつばさは、どんな役どころでしょうか。

荒井 大学生でありながら、歌舞伎町のホストクラブ「THE JOKER」のナンバー1ホスト。完璧主義の人間だけど、実は人知れず抱えているものがあって、そういうところから来る嫉妬心をラウールさん演じる同じホストクラブのカヲルに向ける役柄です。回を追うに従って、つばさの人間らしい部分が見えてくるので、僕自身、共感できるところもあります。

――役作りで意識していることは?

荒井 ナンバー1ホストだからこその余裕さを出したいと思って、まばたき一つにしても、会話をするスピード感にしても、焦りを見せないようにゆっくりとした動作を心がけています。西谷監督からも、余裕さという部分は意識してほしいと言われているので、まずは自由にやらせていただいて、その場その場でアドバイスをいただいています。

――「THE JOKER」はセットとのことですが、本物のホストクラブさながらの空間です。

荒井 初めてセットに入ったときはびっくりしました。隅々までこだわって作られているので、本物のホストクラブにいるような気持ちにさせてくれるセットでした。

――現場の雰囲気はいかがですか?

荒井 僕と同年代の20代半ばくらいの方が多いので、和気あいあいとしていますが、カメラが回るとサッと気持ちを切り替えて、程よい緊張感があります。みんなしっかり演技に向き合っていますね。

――ラウールさんと、主人公の小川愛実を演じる木村文乃さんの印象はいかがですか。

荒井 ラウールさんは真面目で物腰が柔らかくて、しっかりされている方という印象です。一緒にお芝居するシーンが多いので、要所要所で相談させていただいています。木村さんも親切で見守ってくれるようなタイプ。僕は緊張するとガチガチになるタイプなのですが、自由に演技できる環境を作ってくださいます。

――今回、連続ドラマ初レギュラーということで、新たに経験することばかりかと思います。

荒井 現場の空気感も含めて、全てが初めてのことばかりで、その都度、先輩方に圧倒されていますが、必死についていきつつ学ばせてもらっています。

――長期間にわたって同じ役柄を演じ続ける苦労はありますか?

荒井 まだ連続ドラマのペースに慣れていないので、撮影期間が空くと、「あれ、つばさってどういう人間だったっけ?」となってしまうんです。そのたびにマネージャーさんが撮ってくれた動画を見返したり、撮り終えたシーンの台本を読み返したりして、つばさを客観的に見て、役を取り戻すという作業をしています。そうやって必死につばさにしがみついています。