自分と向き合うことができた初写真集の撮影
――1st写真集『コバルト』のお話があった時は、どんなお気持ちでしたか。
黒川想矢(以下、黒川) まず早過ぎるんじゃないかと思いました。まだ16歳ですし、誰が買ってくれるんだろうって(笑)。でも、カメラマンの末長真さんや担当編集の方たちと企画の内容を考えていくうちに、今の自分を見てもらえるなんて、とてもうれしいことだと思えるようになりました。

――どういうテーマで撮影に臨んだのでしょうか。
黒川 「青色で撮ろう」ということと、等身大の自分を見せたいということ。そして自分を探しに行くというか、「自分と向き合う旅」というテーマを掲げました。僕自身もアイデアを出させていただいたんですが、“青”というテーマは、自分でカメラを持って撮影をするようになってから、気づいたら青い写真ばかり撮っていたんです。それで、僕は本当に青が大好きなんだなと自覚して、自然と“青”に行き着きました。
――末長さんとは過去にもお仕事をされているそうですね。
黒川 末長さんは映画『怪物』(23)のスチールカメラマンをされていた方で、映画が終わった後も、ずっとプライベートで親しくさせていただいていますし、宣材写真を撮っていただく機会もあって、距離感が近いんです。年齢は20歳くらい上なんですが、見た目も中身も高校生みたいな方(笑)。一緒に遊びに行くと、高校生に間違えられたこともあって、周囲から見ても僕といて違和感がないというか。僕にとっては師匠のような存在で、ものすごく尊敬しています。

――それだけの年齢差で、どうやって末長さんと距離が縮まったんですか。
黒川 末長さんは写真を撮るにあたって、関係性やコミュニケーションを大切にされる方で、映画の撮影中もたくさんお話させていただきましたし、実は今愛用しているソニーのα77というカメラも末長さんからいただいたんです。それで教えてもらったりしているうちに、どんどん仲良くなっていきました。
――では写真集の撮影もリラックスできた?
黒川 「たまたま旅の中に写真があった」という感覚でした。撮影をしているというよりも、一緒に旅をしていて、気づいたら素敵な瞬間が写真に残っていた、みたいな。なので写真集を見ていただくと、「なんだこの写真は……」という不思議な表情やポーズがたくさんあると思います。そういう和やかな雰囲気での撮影だったので、とても楽しかったです。

――写真集のロケーションは茨城が中心でした。
黒川 3日間で、東京から茨城に行く道中を撮影しました。帰りの電車は末長さんと2人きりだったんですが、ただの友達みたいな感じで(笑)。そのおかげで自分と向き合ういい時間になったと思います。
――特に印象に残っているロケーションは?
黒川 鹿島の海軍航空隊跡地で撮った建物の中の写真が特に印象に残っています。とても静かで、自然と無言でいられる空間。だからこそ、いつも以上に末長さんと向き合えた感じがして。街中でふざけ合ったりできるのも心を許しているからこそですが、静かな場所では、また別の自分が出るんですよね。あと、末長さんと電車に乗っている途中で、「この駅で降りたら面白そうだね」と言われて、咄嗟に降りて撮った写真も大好きです。狙って撮れないものが街中にはあるんですよね。

