舞台を一緒に乗り越えたからこその絆が絶対的にあった

――お二人は『君は映画』が二度目の共演になりますが、最初に共演した昨年の舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』(以下、「リプリー」)のときの、お互いの第一印象から伺えますか。

井之脇海(以下、井之脇) お会いする前の万理華ちゃんは、ファッション誌の連載も読んだことがあったので、クリエイティブが好きなんだろうなとは想像していて、とてもエッジの効いたトゲトゲしたものを持っている方なのかなと思っていたんです。実際にお会いしたら、ストイックな部分もあると思いましたが、ちゃんと人の話を聞いてくれる方なんだと。

伊藤万理華(以下、伊藤) そうじゃなかったらヤバい人じゃないですか(笑)。

井之脇 そんなことはないけど(笑)。とても話しやすい方というのが第一印象でした。

伊藤 良かったぁ。

井之脇 ただ舞台って稽古が始まる前に取材をすることが多いじゃないですか。「リプリー」もそうで、まだ一言も話していない段階で取材があったんです。

伊藤 確かに、その日は緊張もあってお互いに「………」が続く、静かな取材でした。コメディをやるのに、こんなに静かな二人で大丈夫かなと(笑)。

井之脇 稽古が始まってからは、稽古場で会話を重ねたり、キャストさんやスタッフさんとご飯に行ったりする中で、万理華ちゃんは同じ年というのもあって、いろんな話ができるなという印象です。

伊藤 海くんは、しっかりした立ち位置の役を演じられているイメージが強かったので、寡黙な印象がありました。9歳から子役として活動されているので、長くこの業界にいらっしゃるからこその豊富な経験や聡明さがあって、成熟している方なのだろうなと。実際に取材で初めてお会いしたときは、物腰が柔らかい一方で、静かな方だなという印象があったので、「仲良くなれるかな?」という不安もありました。ところが本読みのときには思わず驚くほど最初からフルスロットル。ヨーロッパ企画のメンバーさんと同じぐらいの声量で演じていらっしゃって、すでにキャラクターが完成されていたので、こんなに振り切れる方なのだと感動しました。あと、稽古場の席が決まっていて、上田さん、私、海くんの順番だったので、会話する機会も増えていって、ものづくりに対しての興味が強くて、熱い方だというのが伝わってきました。特に映画の話題になると、話が止まらなくなる瞬間があって、「最高じゃん!絶対に仲良くなれる」と感じて、波長が合うなと思いました。

井之脇 それは僕も感じていましたし、信頼のおける方だなと思っていました。

伊藤 「リプリー」が終わった後に、「次は映画で共演できたらいいね」という話もしていて。私は映像での印象から入っていたので、舞台とは違うトーンのお芝居をする海くんとご一緒したいと思っていました。なので『君は映画』のお話をいただいて、W主演と聞いたときは本当にうれしかったです。それに苦楽を共にしたといいますか。「リプリー」で皆さんと長い期間をかけて稽古して、体力的にもハードだったので、それを一緒に乗り越えたからこその絆があると思っていて。上田さんの世界観への理解については、ヨーロッパ企画の皆さんにも負けないぐらいの自信がありました。

井之脇 「リプリー」がなければ、こんなに二人で話せていないでしょうしね。