歴代の4人だけが知るAKB48グループ総監督の重み

――ここからは、改めて、「総監督」というポジションについて聞かせてください。向井地さんが、約5年間務めた総監督の退任を考えたのは、いつ頃だったんですか?

向井地 考え始めたのは、初代総監督の高橋みなみさんと2代目総監督の横山由依さんの就任期間を超えたあたりからですかね。お2人もすごく長く総監督をやられていたイメージだったので、自分の方が長くなったんだ!っていう衝撃もあって…。そろそろ、次の世代に渡した方がいいのかな?って考えるようになりました。

――その時点で、次は誰にやって欲しい!っていうイメージがあったのですか?

向井地 いや、総監督っていう役職は、もう無くなってもいいのかもしれないという考えの方が大きかったです。もちろん、次に任せるなら誰かなと考えたりもしたんですけど、その子にとっての重荷になってしまうし、やっぱり総監督になると、センターに立ちたいとかは言えなくなるので、本当にそれでいいのだろうかって、考えましたね。でも、秋元先生(秋元康)やスタッフさんとも色々話した時に、総監督っていう役職は、その時代時代の象徴になって欲しいっていう言葉を頂いたんです。私・向井地美音の時代は、コロナ禍もあって大変だったよね…とか、それぞれの時代に物語があるので、しかも、総監督という名称は、他のアイドルグループには無いポジションですし、だからこそ、そのままちゃんと次の世代にも繋いでいこうと決めました。

――そして、倉野尾さんを指名したと。

向井地 はい。最初に浮かんだのが、なるちゃんの顔で…。なるちゃんしかいないよなって思いつつ、やっぱり、なるちゃんも自分のアイドル像を持っているだろうし、キャプテンをやっていたとは言え、総監督は、世間からの見られ方とかも全く変わって来るし、なるちゃんにはUNLAMEの活動もあったりするので、「うん」って言ってくれるかな?って、心配は大きかったです。

――では、ここからは、倉野尾さんにお聞きします。最初に、4代目総監督に指名された時は、どう感じましたか?

倉野尾 まずは、率直に嬉しかったです。この役職になれる人って、何人もいないっていうのもありますし、自分が以前キャプテンとして過ごした時間がすごく楽しかったのもあって、みんなを引っ張っていくというポジションに対して、怖いとか嫌だなっていう感じは全くなかったので、ある意味、自分がキャプテンをしていたチーム全体を肯定してもらえたような気がして、すごく嬉しい気持ちになりました。

――ちなみに、お話を受けた時に、即決・即答したのですか?

倉野尾 言われた日に、すぐにお返事したんですけど、断ろうとは全く思わなかったです。結構考えてから答えるタイプなんですけど、勢いで「はい」って言っちゃって…。でも、そこから、ファンの皆さんに発表されるまでの期間、本当に私でいいのか?まだ間に合うんじゃないのか?とか考え始めて、もう早く発表して欲しい…っていう感じでしたね。

――悩んだ瞬間もあったというのが、すごくリアルな声だと思います。

倉野尾 そうですね。発表されてしまえば、もう悩んでいる暇は無いって感じで思っていたので…。でも、最初から、不安よりも頑張りたい!っていう気持ちの方が勝っていました。ちょうど、ゆきりんさんの卒業発表があったりして、AKB48の時代が変わると感じ始めた時でしたし、おんさんが総監督でいてくれることに安心しきってはいたけど、このままじゃ駄目なんだよな…っていうのを少しずつ感じ始めていた時でもあったので。

――他のメンバーからの反応はいかがでしたか?

倉野尾 同期のメンバーは「支えるからね」って言ってくれたり、後輩からは「嬉しいです、楽しみです」みたいなコメントももらえて嬉しかったですね。それがまた総監督へのモチベーションとやる気にも繋がりました。

――改めて、向井地さんからのバトンを受け取って、どんな総監督を目指していきたいですか?

倉野尾 おんさんになろうと思ってもなれないことはよく分かっていますし、今までの総監督もそれぞれが違う形で、引っ張っていたと思うので、自分らしくやっていきたいなって思っています。おんさんは、こうした方がいいんじゃない?っていう口出しもほとんどなくて、温かく見守ってくれているんです。

向井地 母親のようにね(笑)。

倉野尾 視線が本当に優しくて…。でも、もちろん、間違っていたら言って欲しいですけど、自分らしく引っ張っていけたらなと思います。