今までのシリーズの中でベストな作品が作れたんじゃないかなと思う

――公開中の『映画 THE3名様Ω~これってフツーに事件じゃね?!~』は石原まこちんさんの原作で、2005年から続くシリーズの最新作。映画としては2022年に1週間限定で公開された『THE3名様~リモートだけじゃ無理じゃね?~』に続く第2弾となります。

佐藤隆太(以下、佐藤) 前作の『~リモート』はDVDシリーズと変わらない、「これは何を見せられているんだ?」というくだらないテイストを映画館で観られるという贅沢さがあって、そこがすごく面白かったんですけど、今回はちゃんと映画になっちゃったなと(笑)。

――より映画作品としてブラッシュアップしたと。

佐藤 ショートストーリーの積み重ねだけど、それが一つに繋がっていくというところで考えると、綺麗に映画としてまとまったという感じがして僕は観終わった後にすごく満足感がありました。今までのシリーズの中でベストな作品が作れたんじゃないかなと思っています。

――3人による、ゆるくもあり突拍子のないやり取りは、みなさんが楽しみながら演じているのが伝わってくるようでした。

岡田義徳(以下、岡田) やっぱり人が楽しんでいる姿って、はたから見ても楽しいものじゃないですか。映画も同じようにただただ僕らが楽しんでいる、その姿を見てもらえればいいのかなと。それが一番重要だと僕らは思っています。

佐藤 高史は積み重ねてきたぶんの愛おしさがあったって言ってたね。

塚本高史(以下、塚本) 今回の作品のテーマというわけじゃないんですけど、「俺にはお前らがいないと駄目だ」みたいな3人の友情が感じられるところが端々にあるんです。だから、客観的に一つの作品としてこの映画を観た後には、この3人にまた会いたくなるような気持ちになりました。

佐藤 そこにたどり着けたかなっていう感じはするね。

塚本 もちろん監督の森谷(雄)さんの演出や音楽の良さだったり、いろんな要素が相まってだと思うんですけれど、今回は下手したらちょっと泣いちゃうんじゃないかなって、これまで以上に思いました。

――別のインタビューで「この作品はスタッフとみんなで話し合って作り上げていく」というお話をされていたと思うのですが、映画化にあたっては具体的にどのようなお話をされましたか?

佐藤 ストーリーについては、現場で僕たち3人と森谷さん、まこちん先生を含めて原作を読み返しながら、「このエピソードをやりたい」とお互いに意見を出し合いました。そのラインナップを森谷さんたちに綺麗に組み立ててもらいながら、作り上げていく。ここまで脚本の段階から踏み込ませてもらえるのはすごく恵まれていますし、お互いの信頼関係があるからこそだと思います。

岡田 もの作りとしてはすごくいい現場だと思います。役者がストレスを抱えないというか、疑問を全部解消した上で現場に入るので、演じやすいんです。

塚本 そもそも『THE3名様』って観ている人に逐一説明するような、わかりやすい作品ではなくて、説明セリフなどはできるだけ削いでいくんです。ただ、まこちん先生の原作から抜粋させていただいているので、説明セリフが台本に含まれていることもあるんですけど、そういうときは「これはカットしていいんじゃないか」「でも、空気感は壊さず伝わるように」と現場で話し合うことは結構ありました。

――映画『~リモート』でDVDシリーズから12年ぶりに復活した際、スタッフも代わり、新体制になったとお聞きしましたが、以前と違うと感じる部分はありますか?

佐藤 最初は体制が変わってプロジェクトが再開することに不安もあったんですけど、まこちん先生が脚本も書いてくださるようになったことで、同時に強みができたと思いました。まこちん先生はこの実写化に対してもすごく愛情を持ってくださっていて、撮影にも毎日来てくれるんです。原作者であり脚本を書いてくださる方が毎日モニター前で僕たちの芝居を見て、僕たちの現場で発見したことを共有して下さっているからこそ「ちょっとこういうアレンジしてみてもいいですか?」というときも、「いいですよ」と理解してくださって。本当に風通しの良い恵まれた現場です。

塚本 こういうスタイルでお芝居をさせていただける現場はなかなかないです。

岡田 新しい体制になったときも不安があったとは思うんだけど、やっぱり初期から今までやってきて、そのなかで『THE3名様』を僕らも作り上げてきたという意識があったので、新体制になったとしてもこの3人が揃えば変わらずにその空気感を出せる自信も強かったと思います。