「この人生を一緒に戦っていく二人」というイメージを膨らませた「重ねた道」

――ニューシングル『29歳』を10月23日にリリースしました。田﨑さんは1995年11月20日生まれで、まさに29歳を迎えようとするタイミングでした。

田﨑 20代後半になって、「29歳」の歌詞の通り、ちょっとした焦りみたいなものがあって。というのも一般のお友達と会ったときに、職場の話や、結婚して子どもいる子から家庭の話などを聞くうちに、「あれ?私は今やりたいことをやって、誰しも経験できないことをさせていただいて、大好きな歌を歌えて幸せなはずなのに、これで大丈夫なのかな……」みたいな焦燥感を抱くことがあったんです。だから初めて「29歳」の歌詞をいただいたときは共感しました。

――長谷川さんは1994年4月2日生まれで、29歳を経験しています。

長谷川 私もあさひちゃんと一緒で、29歳で3人目の子どもが生まれる友達もいましたし、海外で好きなことをやっている友達もいて、ちょっと遠く離れてしまったような気持ちがありました。このままで大丈夫なのかなとチラっと考えるようになったのが、まさに29歳という節目でした。ただ友達から見たら私も、音楽活動をして、いろんなところに歌いに行って、作品をリリースしてという日々を送っているから、遠く感じることもあったと思うんですよね。

――三十代を迎えて気持ちの変化はありましたか。

長谷川 みんな同じなんだと理解ができたところから、自分はこう進んでいきたいとか、いろんな人の話をたくさん聞いてみたいとか、前向きな考え方にシフトしました。そんなときにいただいた「29歳」は、今の私たちだからこそ歌える楽曲だなと思いました。

田﨑 29歳から30歳の思いを描いているので、Bitter&Sweetにとってリアルタイムな楽曲になったなと思います。主人公は大切な人を失って、その人のことを思い続けている女性で、自分たちと重なるところと重ならないところの両方があるんですけど、レコーディングやミュージックビデオの撮影を通して、この主人公に対して、どういうふうに思いを重ねられるかを考えながら歌わせていただきました。

長谷川 何度かライブで披露しているんですが、同世代の方からも、年上の方からも共感したと言っていただけます。

田﨑 ライブで「29歳」を聴いていただいた方にお話を聞くと、29歳で経験したことが今に繋がっているという声が多かったのも印象的でした。

――歌い方でどんなことを意識しましたか。

長谷川 主人公の気持ちに合わせて、低めのキーから始まって、サビに向かって日常からあふれ出る気持ちが描かれていくので、今まで以上に気持ちを込めて歌いやすかったです。

田﨑 悲しい感情もありつつ、前を向いていく主人公なので、悲しみだけに暮れるような歌い方にはしたくないなと思って。最初は淡々と始まって、つぶやく感じから、一番目のサビでは感情をクレッシェンドしつつも抑え気味にしてと、主人公の気持ちに寄り添いました。

――カップリングの「重ねた道」は、コロナ禍を経て、今の気持ちをストレートに歌った曲で、歌詞はお二人の共作です。

長谷川 最初に楽曲をいただいたんですが、私たちはしっとりめの楽曲が多くて、ライブで盛り上がる曲が欲しいなと思っていたところだったんですよね。まさに「重ねた道」は、皆さんと一緒に盛り上がれる楽曲なので、まずは攻めたワードをチョイスしながら、それぞれ歌詞を書いて。二人でレスポンスしながら、ワンコーラスずつを書いて。そこで初めて二人で会って、お互いに感じた同じところと違うところを照らし合わせながら、まとめ作業を行いました。

――一致した解釈はどういうところですか。

長谷川 たとえば「アニメソングみたい」という印象が合致しました。攻めた楽曲なので、「この人生を一緒に戦っていく二人」みたいなイメージを膨らませていきました。

――最後にライブでの「重ねた道」の聴きどころをお聞かせください。

長谷川 変拍子で難しい楽曲なんですが、初披露のときから、皆さん声を出してくださって、一体になれたのがうれしかったんです。これからも「重ねた道」で一緒に盛り上がろうという気持ちを共有したいですね。

Information

ニューシングル
『29歳』
好評発売中!

【通常盤】
定価 ¥1,300( 税込 )

・収録曲
1.29歳
2.重ねた道
3.29歳(Instrumental)
4.重ねた道(Instrumental)

Bitter&Sweet

「第2回 FOREST AWARD NEW FACE オーディション」にてグランプリ獲得し、ソロアーティストとして活動していた田﨑あさひが、「第3回 FOREST AWARD NEW FACE オーディション」グランプリを獲得した長谷川萌美と結成したユニット。 彼女らの特徴である透明感あふれる歌声を持った二人の声が混ざり合う二人組ユニットとしての活動を行い、時には全く別の個性を見せる時もあれば、時には 2 人が混じると全く違った一面も見せるといった意味合いを持つネーミングである。生まれ・育ちや好きな音楽も違う 2 人の個性がぶつかり合って生み出す音楽に、様々な味や色を持つ彼女らの歌声で表現する音楽ユニットである。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI