セッションバーで初めて会ったクマさんと意気投合

――大学在学中に「卒業後は音楽の道で行こう」と考えていたんですか。

ウチムラ そこまでは思っていなかったです。ずっと音楽は続けていくんだろうなとは思っていたんですけどね。ただ、それぐらいの時期から、誰かに頼まれてお金をもらって弾くということも少しずつあって。声をかけてもらう現場はポップスもあればR&Bもありました。でも大学在学中なので、これで食うのは大変だろうなと普通に就職も考えていました。でも、そのタイミングでバンドに誘われて、活動していくうちに「音楽をやりきってからじゃないと絶対に後悔する」という気持ちが生まれてきて、本腰を入れようと思いました。

――何系のバンドだったんですか。

ウチムラ ミクスチャーでした。そこで2、3年ぐらいやって、ワンマンライブもやって、プロモーションしてくれる人がついたりもしたんです。でも、これからというときにバンド内でいざこざがあって……。自分も将来の不安があったし、めちゃくちゃ貧乏だからギリギリのところでやっていたしで、ふさぎ込んでしまって。バンドメンバーとも連絡を取らなかったし、親と周りにいた友達とも連絡を取らなくなっちゃって、引きこもっていたんです。でも、何回も連絡をくれる友達がいたから、少しずつ復活していったんですが、その時期は料理をしたり、散歩をしたりで、ほとんど鍵盤も弾いていなかったんです。でも、音楽は好きだったから、DAWで打ち込みを覚えて自分で曲を作ったり、ギターとかベースとか、弦楽器をやってみたり。曲を作る上で弾けたらかっこいいなぐらいの気持ちで始めたので、ギターはコードぐらいですし、ベースも早弾きとかはできないんですが、一応は弾けるようになって。それで、少しずつ人とも会うようになりました。

――社会復帰も音楽が重要な役割を果たしたんですね。

ウチムラ それで『ギター・マガジン』に携わっている編集者の友達がいて、二人で飲んでいたんです。そのときにバーカウンターで鬱々と一人で飲んでいる黒尽くめの男がいて、その友達が知り合いだったから3人で話したんです。当時、僕はジェイコブ・コリアーが好きだったんですけど、そういう話をしたら意気投合して。「じゃあ俺んちに来てセッションしようよ」という流れになって、家では大きな音を鳴らせないのでイヤホンをしてセッションしたんですがマジで楽しくて。彼が「セッションに一緒に行こうよ」と誘ってくれて、また外で音楽をやるきっかけを作ってくれました。

Novel Core いい流れが来たね。

ウチムラ その流れで早稲田のインカレに「The Naleio」というのがあって、そこに入って鍵盤を弾くようになって、セッションバーにも出入りするようになったんです。ずっと人と音楽をやってこなかった期間があったから、自分の技量も分からなくなっていたんですけど、セッションに行ったら、みんなが僕の弾いたフレーズに対して楽しそうにしてくれる、一緒に盛り上がってくれるみたいな経験をいっぱい積んで。そうやっていくうちに友達が「下北沢のmusic bar rpmがめっちゃいいよ」と勧めてくれて、初めて行った日が、たまたまクマさん(クマガイユウヤ)がいるジャムの日だったんです。ベースの後藤(マサヒロ)くんもいて、一緒にセッションしました。初めて会ったにも関わらず、クマさんとバイブスが合って、セッション後も二人で話して盛り上がったんです。その頃にはクマさんもCoreと一緒にやっていたんだよね。

Novel Core そうだね。こちら側の話をすると、ちょうどバンドの結成期、まだTHE WILL RABBITSというバンドの名前もついていなかった頃に、KT Zepp Yokohama(2022年6月3日開催の1st ONEMAN LIVE「I AM THE TROUBLE」)でHibiki(Sato)とクマさんが合流して。バンド体制になって、マニピュレーションが入ってという流れになった後、そのバンドで「No Pressure TOUR 2022」を回っていたんです。それに向かう最中に、翌年1月21日の豊洲PITが決まっていて、そこで2024年1月の武道館公演を発表するというところまで、すでに決まっていたんです。

――そこまで先の予定が決まっていたんですか。

Novel Core そのときに「豊洲から武道館までの1年間にバンドを整える」ではなく、ツアーが終わって、豊洲で武道館を発表するタイミングには、バンドをもう1段階ビルドアップさせておいたほうが、そこからの1年間が綺麗かなと。豊洲が終わってから、武道館に向けての間でジョインとなると、モチベーションもそうだし、バンドのグルーヴも含めて大変かなと思っていたんです。それで「No Pressure TOUR 2022」が始まる前に、クマさんに「鍵盤を入れたい」という相談をして。普通はその編成だったら、まずベースだと思うんですよ。でも、うちはシーケンスがメインで、同期をすごく強めに鳴らすバンドというのもあったし、楽曲も一人のプロデューサーというより、あちこちのプロデューサーさんとやるので、サブが強く鳴っている曲も多かったし、すごいアタックを持ったやおや(TR-808)が鳴っている曲もあったりして。そうなってくると、生のベースにそれを置き換えちゃうと、普通のバンド曲になっちゃって面白みが減るよねと。今の曲調だったら、鍵盤がいたほうがいろいろできるし、サブもシンセベースも弾いてもらえる。それで鍵盤を先に入れたいという相談をしたんです。そのときは蔦谷(好位置)さんにも相談していたんですが、「若くて、いろんなジャンルができる鍵盤を探しています」と、いろんなミュージシャン経由で探ったけど、なかなかいなくて。そもそも鍵盤業界って平均年齢が高いんですよね。

ウチムラ 意外と楽器人口も少ないからね。

Novel Core ドラマーのほうが全然見つかるんですよ。