音楽はどこまで行っても遊びであったほうがいい

Novel Core 本当に鍵盤が見つからなくて「どうしよう……」となっている中で、ある日の夜中、急にクマさんから電話がかかってきて。電話に出たら、すごい興奮していて、「Core、いい鍵盤を見つけた!」と。

ウチムラ その時点で、僕はクマさんからバンドのこともCoreのことも聞かされていなかったんですけどね(笑)。

Novel Core クマさんからrpmでセッションしたことを聞いて、「その場で出てくるアイデアだったり、テンションだったり、弾くパートのレンジの広さだったりがすごく面白い。いろんなジャンルがミックスされている感じもするし、音楽性も高い。セッションの後に飲んだんだけど、めちゃくちゃ人柄もいいから、絶対にいいと思うんだよね」と報告してくれて。「じゃあその人に会いたいから、インスタを送って」と送ってもらったら、当時、うっちーはSNSをあんまり動かしていなくて。それでも断片的に上がっていたモノクロの動画を見たら、スタジオで縦に積んであるシンセを弾いていたんですが、すげえかっこよくて。わりとロックなフレーズも弾いていたりしたので、「マジでありかも」と思って、スタジオに来てもらったんです。それで僕たちのリハに一回参加してもらって。曲はまだ渡していなかったので、「とりあえず今から流す曲を聴きながら、その場で適当に弾いてみて」とフレーズを聴かせてもらったら、いろんな面白いことをやるし、持ってきてくれている音の数も多くて、モチベーション高く来てくれていたんですよね。それで僕もその場で「メンバーに入ってほしい」という話をして、RABBITSに正式加入してもらいました。

ウチムラ めっちゃ緊張したけどね(笑)。しかも僕にとってのRABBITSのデビューは、いきなり豊洲PIT。当時は大きいステージで演奏するという経験もなかったので衝撃が大きすぎました。

――ウチムラさんの加入が決まってから豊洲PITまでは、どれくらいの期間があったんですか。

Novel Core 4カ月ぐらいですかね。「No Pressure TOUR」もうっちーから、「観に行きたい」という申し出があって、名古屋公演に来てもらって。一緒に演奏はしていないけどライブを観てもらって、なんとなくのフィーリングを掴んでもらいました。そもそも急にオファーしたのも理由があったんです。

――どんな理由でしょうか。

Novel Core うっちーは前のプロジェクトを辞めてから、外界との間に壁を1個作って、シャットダウンして一人で生きていたけど、久々に連れ出されたセッションの中でたまたまクマさんと出会って、フィーリングが合ったと。それをクマさんから聞いたときに思ったのは、音楽って、お金を稼ぎ始めたらビジネスでもありますが、どこまで行っても遊びであったほうがいいというのが僕の考えで。逃げ場であったほうがいいと思うし、しんどくなったときに「音楽があるから、他のことを気にしなくてもいいか」となれるものであったほうがいい。特にうっちーの場合、さっきの話を聞いていて「まさに」と思ったんですが、音楽の始まりが自然と生活の中にあって、「めちゃくちゃ仕事にしなきゃ」「これで食っていく」ということよりは、純粋に「やってて楽しい」「おもろいな」から音楽をやってきた人。なおさら、そういう人が音楽以外の理由で自分の心に壁を作っちゃって、結果的に音楽からも離れちゃうのは、すごくもったいないことだなと思ったんです。だから、無理やりでも連れ出したほうがいいというか、もっと大きいステージに無理やり立たせて、プレイさせて、初期衝動になりうる大きい衝撃を与えたほうがミュージシャンとして絶対にいいんじゃないかと。そういうことを、まだうっちーと会ったこともないのに、クマさんに話したんです(笑)。

ウチムラ クマさんもクマさんで一回セッションしただけの相手をバンドに誘うのもすごいことだよね。

Novel Core 「初期衝動が足りないんじゃないか」「1発、強いパンチがあったらいいと思う」みたいな話も二人で勝手にしていたんですが、僕はそういう勘が当たるタイプなんです。初めてうっちーとスタジオで合わせたときも、確かに緊張はしていたけど、演奏は堂々としていて。弾くフレーズはかっこいいし、この人は多分すごいことをやってくれるというワクワク感があった。その勝手な勘だけで、その日に「メンバーに入って」と言っちゃうぐらい、そこに対しては自信があったんです。

Novel Core

東京都出身、25歳。ラッパー、シンガーソングライター。SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル “BMSG” に第一弾アーティストとして所属。高いラップスキルと繊細な歌唱技術を保有しながらも、等身大の言葉で紡ぐ飾らない表現力とパワフルなライブパフォーマンスが話題を呼び、幅広い世代から強い支持を集める。ヒップホップとロックを軸に、様々なサブカルチャーを融合させた独自のミクスチャーサウンドは、ジャンルに縛られない自由な表現として高い評価を獲得。2024年1月、日本武道館での単独公演を完全ソールドアウトで成功させ、翌2025年2月には自身初となるアリーナ単独公演を決行。大型公演に限らず、全国各地のライブハウスを巡るツアーも精力的に展開し、圧倒的なライブ力と真摯な姿勢でファンダムとの強い信頼を築いている。また、ライブの総合演出をはじめ、衣装のスタイリングからアートワークのデザインに至るまで、全てのクリエイティブにおいて一貫してNovel Core自身がディレクションを担っており、その鋭い感性は音楽シーンの枠を超えて高く評価されている。FERRAGAMOやETROなどのトップメゾンのモデルにも起用されるなど、ファッション業界からの注目も高く、アーティストとしての表現領域をさらに広げている。音楽、ファッション、アートワークなど、多種多様なカルチャーへの愛とそれを裏付ける実力で、Z世代を牽引する新世代ミクスチャーアーティスト。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI