常に作品に対して真摯に向き合っていかなくてはいけない
――描き方によっては、非米活動委員会側の人間は悪者になりますが、この作品ではそうなっていません。
中川 非米活動委員会側の彼らは映画人と違って、客観的に見ると、あまり素性が明白ではない部分もあると思うんです。そもそも映画の大好きな青年が、どうして非米活動委員会の人間になって、この仕事をしているのか。非米活動委員会側も例外ではなくて、この時代のアメリカ人である以上は、いろんな葛藤を抱えている。もしかしたら自分たちが標的になる可能性もあるし、一寸先は闇かもしれないという状況の中で、この職に就いているんです。そういった事情も少しずつ見え隠れしていくところが三谷さんの脚本の面白いところ、引き込まれるところでもあるのですが、そういった人物が抱えているそれぞれの事情を知ることで奥行きが広がって、より面白く、お客様にも楽しんでもらえる作品になると思います。

――これまで当時のハリウッド映画を観ることはありましたか。
中川 ほとんどなかったです。三谷さんからおススメしていただいた映画をたくさん観ているんですが、反戦をはじめ、深いテーマを描いている作品でも、純粋にエンターテインメントとして面白いです。今では鉄板と言える展開が、この時代からあったというのも興味深いですし、この時代のエネルギーを感じます。
――本番で楽しみにしていることは何でしょうか。
中川 正直、今はいっぱいいっぱいの状態で、ヒリヒリ、ドキドキしています(笑)。

――俳優として、舞台の醍醐味はどのような時に感じますか。
中川 僕は昔から演劇が大好きで、観るのも好きですし、自分が携わらせてもらうようになってから、俳優としてのやりがいも感じています。映像だと限られた時間の中で、瞬発的にお芝居していかなきゃいけない局面が多いのですが、舞台は稽古期間があって、長い時間をかけて脚本と自分の役と向き合うことができます。今回の『アメリカン・ドリーム』は公演期間も約2カ月と長いですし、ステージ数にすると60を超えます。そういう長い時間をかけてでしか見えない領域がありますし、毎公演で新しい発見があります。セリフ一言にしても、新たな解釈が見つかることもありますし、どんどん姿かたちが変わって、作品自体がアップデートしていくのも舞台の醍醐味です。そのためには、常に作品に対して真摯に向き合っていかなくてはいけないなと思います。
Information

PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』
【東京公演】 2026年8月15日(土)~9月13日(日) PARCO劇場
【京都公演】 2026年9月17日(木)~20日(日) 京都劇場
【北海道公演】 2026年9月24日(木)~27日(日) 札幌市教育文化会館 大ホール
【岡山公演】 2026年10月1日(木)~4日(日) 岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
【大阪公演】 2026年10月8日(木)~12日(月祝) 森ノ宮ピロティホール
【愛知公演】 2026年10月16日(金)~18日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【福岡公演】 2026年10月22日(木)~25日(日) キャナルシティ劇場
作・演出:三谷幸喜
出演:小日向文世 浅野和之 山崎一/浅野雅博 関谷春子/中川大志
美術:松井るみ
照明:三澤裕史
音響:井上正弘
衣裳:安野ともこ
ヘアメイク:宮内宏明
映像:ムーチョ村松
演出助手:伊達紀行
舞台監督:福澤諭志
プロデューサー:藤井綾子
製作:森田幸介
特別協賛:株式会社イープラス
企画・製作:株式会社パルコ
中川大志
1998年6月14日生まれ。東京都出身。2009年俳優デビュー。2011年に「家政婦のミタ」(NTV)で一家の長男役を演じ、注目を集める。以降、映画、ドラマ、舞台など幅広いジャンルで注目作への出演を続けている。近年の主な出演作に【舞台】コントと音楽Vol.6『最低二万回の噓』(25年)、『儚き光のラプソディ』(24年)、『歌妖曲~中川大志之丞変化~』(22年)、【映画】『ゴールデンカムイ ―網走監獄襲撃編―』(26年)、『早乙女カナコの場合は』(25年)、【ドラマ】「ザ・ロイヤルファミリー」(25年 TBS)、「Eye Love You」(24年 TBS)など。現在、出演ドラマW-30「ALIUS -特定事象操作ファイル-」(WOWOW)が放送中。
PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI
