昔から自分の声にコンプレックスがあった

――『我々は宇宙人』は山﨑さんにとって声優初挑戦になります。

山﨑天(以下、山﨑) 本当に自分でいいのかなとびっくりしたんですが、ずっと声のお仕事をやってみたいと思っていたので、すごくうれしかったです。

――なぜ声のお仕事に興味があったのでしょうか。

山﨑 櫻坂46の後輩にあたる四期生の合宿動画(公式YouTubeチャンネル「櫻坂チャンネル」で公開中の四期生ドキュメンタリー『櫻坂46 四期生物語 ーいま、わたしたちに、できることー』)があるんですが、そのナレーションを担当させていただいた時に、声だけで表現するのは難しかったんですが、楽しいなって純粋に思えたんです。私は昔から自分の声にコンプレックスがあって、今も苦手なんですが、苦手なものと向き合える時間でもあるので、やりがいも感じます。一生、自分の声を好きになることはないと思うんですが、しゃべること自体が好きなので、声のお仕事に携わりたい気持ちが大きかったです。

――プレッシャーはいかがでしたか。

山﨑 ありました。何から何まで分からなかったので、どうやってレコーディングするのだろうかというところから未知の世界すぎて、最初は不安でしかなかったです。でも、門脇康平監督とたくさんお話しさせていただいて、優しく教えてくださいましたし、スタッフの皆さんも「こういう手順で録っていきます」と細かく説明してくださって、どんどん不安要素を取り除いてくださいました。

――今回演じた「小夏」はどのようなキャラクターと捉えましたか。

山﨑 同級生に、こんなかわいい子がいたら、誰もが好きになっちゃうんじゃないかというくらい、愛すべきキャラクターです。小夏ちゃんの繊細な、誰も傷つけたくないという優しさを声でも表現しなきゃいけないなと感じたので、ローテンポで、優しくしゃべることを意識してやっていました。

――普段の山﨑さんとは話し方も違うのでしょうか。

山﨑 全く違います。小夏ちゃんは囁いているような口調ですが、どちらかというと私は普段から声が大きいと言われるタイプで、よく叫んだりもします(笑)。

――ご自身と似ていると感じたところはありますか。

山﨑 雰囲気は正反対なんですが、梅のお菓子を食べるシーンがあって、私も梅が大好きなんです。しかも小夏ちゃんも私と同じで、塊で食べるのが好きだったので、ぴったりな共通点でした。でも、たまたまだったらしくて、勝手に運命を感じてしまいました。

――今回のアニメーションは全編手描きで、企画の立ち上げから5年かけて作られたということですが、最初に映像をご覧になった時はどう感じましたか。

山﨑 アニメーションという括りではあるんですが、また別の次元に飛び越えているなと。1秒1秒、1枚1枚の絵がアート作品だなと思いましたし、音がなくても、映像だけで十分楽しめるくらい美しいなと感じました。

――先ほどお話に出た実写のナレーションとは違う難しさがあったと思いますが、絵に対してご自身の声を乗せるという作業はいかがでしたか。

山﨑 厳密に尺が決まっているわけではないですし、その中で決まったセリフ量をしゃべるのは難しかったです。特にご飯を食べながらしゃべるシーンは苦戦しました。最初は何も食べずにやってみたんですが、食べながらしゃべっている感じにはならなくて。いろいろ食べ物を用意してくださって、おにぎりを食べながらしゃべったんですが、口に何かを含みながら伝えるというのも大変でした。ただしゃべるだけではなく、何を言っているのか分かるようにしないといけないですからね。すごく勉強になりましたし、改めて声優さんのすごさを痛感しました。

――ストーリーについてはいかがでしたか。

山﨑 ホラーでもないし、サスペンスでもないんですが、この感情は何なんだろうというくらいゾクゾクしました。まだ名前のない子どもの頃の感情が繊細に表現されていて、確かに自分もこういう気持ちがあったけど、何て言えばいいか分からなかったなと思い返しました。ただ台本を読んだだけでは分からない部分もあって、映像を見て、こういうことかと納得しました。セリフだけではなく、表情だけで内面や感情が描かれている部分がたくさんあって、そこもすごいと思いました。