18歳の頃にプライベートで交友関係が始まった

――お二人は以前から親交があったそうですね。

芋生悠(以下、芋生) 18歳の頃に知り合ったので8年目です。

唐田えりか(以下、唐田) お仕事ではなく、普通にプライベートで知り合ったんです。私の友達がカメラマンを目指していて、その子が「芋ちゃんを撮った」と言うので、写真を見せてもらったら、すごくかわいくて。そのときに私は公式のインスタをやっていたので、芋ちゃんをフォローしたらメッセージをくれたんです。それで会う約束をして。

――そういう出会いって他にもあるんですか?

唐田 なかったです。そもそも親交のない人をフォローすることも初めてでした。

芋生 しかも口約束じゃなくて、すぐに会ったら波長が合って。

唐田 それから、ずっと仲が良いです。

――共演は今回の『朝がくるとむなしくなる』が初めてだそうですか、いつか共演したいというお話はしていたんですか。

芋生 それが仕事の話は全くしたことがないんです。

唐田 地元の友達という感覚なんですよね。

――お互いの出演作品は観ていましたか?

芋生・唐田 はい。

――プライベートとお芝居では印象も違いますか?

唐田 そうですね。芋ちゃんは普段会うと、柔らかくて優しい感じなんですけど、作品を観ると芯がしっかりしているなって感じます。お芝居を通して伝わるものがあるし、女優としての芋生悠も大好きです。

芋生 唐ちゃんは映像だとミステリアスな雰囲気があって、掴むことができない、遠くに行ってしまいそうな不思議なオーラを纏っていますが、普段は人間味に溢れていて。『朝がくるとむなしくなる』の希は普段の唐ちゃんに近い感じがして、地に足がついている女の子。そういう唐ちゃんも好きだし、お芝居を通していろんな面が見られるから、すごく面白いです。

――希というキャラクターは、石橋夕帆監督による唐田さんへのあて書きだったそうですね。

唐田 今回は石橋さんと初めてお会いして撮影するまでの期間が2か月とスパンが早かったんですけど、その間に脚本が出来上がりました。私は陽気な性格なので、全てが希に似ているわけではないんですが、希のように心を閉ざしてしまったり、人と上手く関われなかったりという時期があって、そのときにお話をいただいた作品なので、意識せずとも希と共通するところはありました。

――初めて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。

唐田 何か大きいことが起こるわけではないですけど、日常に寄り添った優しい脚本だなと思いました。

芋生 大人になってからできる友達って限られてくる中で、恥ずかしさを感じずに自分のことを話せる友達は大切だし、そういう存在がいるのは心の支えになるなって改めて感じる脚本でした。私と唐ちゃんはお互いに忙しくて、物理的に会える時間って多くはないんですけど、それでもお互いの幸せを願い合っているだけで、何かあったときに大丈夫って思えるし、前に進むこともできます。

唐田 実は今回の映画で顔合わせするまで、しばらく芋ちゃんに会えていなかったんです。だから現場で会ったら泣いちゃうかなと思っていたんですが、意外と顔を合わせてみたら、昨日ぶりぐらいのテンションで。

芋生 それは私も全く同じで、前日はドキドキして、「絶対に泣いちゃう……」って思っていたのが、実際に会ったら「イエーイ!」みたいな(笑)。芋生悠として唐ちゃんのことが大好きなので、希に再会できてうれしいという加奈子の気持ちに通じるところはあるんですが、あまりにも思いが強過ぎて、逆にそれが出過ぎないようにするのが難しかったんですけど(笑)。唐ちゃんといると本当に楽しいし、一緒にいる時間が尊かったです。