フィリピンの俳優の方が優しく包み込んでくれた

――女性キャストの多い作品ですが、現場の雰囲気はいかがでしたか。

山口 センシティブな内容なので、みんなで「どうしようか」と悩みながら、一緒に戦っているような感覚でした。食事中もワイワイというよりは、悩みながらご飯を食べるみたいな(笑)。

――海外の役者さんもいらっしゃいますが、違いを感じることはありましたか。

山口 ありますね。特に日本とは文化が違うと強く感じたことがあって。フィリピンの俳優の方がギュッと私の肩を抱きしめて、頭を撫でるシーンがあるのですが、それは脚本にはなくて、彼女のアドリブでした。あまり日本人にはハグの習慣がないから、愛のあるハグを体で感じたときに、心が伝わってくるようでうれしかったです。優しく包み込んでくれる感じが素敵で、そのおかげで私も心を開くことができました。

――男性キャストは加害者側を演じる方が多いですが、どのように役に臨んでいる印象でしたか。

山口 男性キャストの皆さんは、役柄的にどうしても肩身が狭かったと思います。それもあって、どうやって演じたらいいかのか、ものすごく繊細に考えていた印象があります。この役には髭があったほうがいいのかとか、もっと言い方を強くしたほうがいいのかとか、このタイミングで手を出した方がいいのかとか、皆さん細かく監督とお話されていました。

――改めて完成した作品を観た印象はいかがでした。

山口 撮影中はずっとつらい気持ちがあって。それから約1年後に完成した作品を観ました。だいぶ客観的に観ることができたにも関わらず、乃愛の葛藤に引っ張られそうなほど重い作品だなと感じました。私自身、撮影期間中は大学を卒業間近で仕事一本になる直前だったので、自分の中で葛藤している時期だったんです。そのときの気持ちが乃愛とリンクしていると感じたところが幾つもあって、そういう意味では良いタイミングだったと思いました。

――忙しかったり、葛藤があったりする中、リラックスできる趣味はありますか?

山口 お味噌汁が大好きで、お味噌屋さん巡りをしています。たくさん種類があるので、味噌それぞれの違いを知れたり、赤味噌に初挑戦してみたり。お味噌屋さんで直接目にすることで、新たに知ることも多いんです。

――もともと自炊はお好きなんですか。

山口 一人暮らしを始めてからやるようになりました。皆さん、あまりお味噌汁って飲まないですか?

――個人的には毎日飲みますが、若者のお味噌汁離れは何年も前から聞きますよね。

山口 実際、私の周りでも飲まない人が多いかもしれません。実家は洋食でもお味噌汁が出る家庭で。それが当たり前だったので、一人暮らしを始めてからも欠かさず飲んでいて。時間がないときでも、インスタントのお味噌汁を飲んでいます。ふと自分には趣味がないなと思ったときに、ずっとお味噌汁を飲んでいると気づいて(笑)。それでお味噌屋さん巡りを始めたら楽しくて、3種類以上のお味噌を常備していますし、時にはブレンドも楽しんでいます。

――お味噌汁でベスト具材は何でしょうか。

山口 いろいろあるんですけど、安定で美味しいのはキノコ類です。最近ハマっているのは、ほうれん草にとき卵を流し込むお味噌汁です。