辛いことも与えられた壁だと思って乗り越える
――写真集は村川さんにとって、12年間のアイドル活動の集大成でもあると思うのですがいかがでしょうか。
村川 この12年、自分自身に向き合うことが多くありました。「自分らしさとは何か」「売れるためにはもっと流行に寄らなきゃいけないのか」と、本当にたくさん悩んだんです。でもどれも結局、私だったなって思うんです。流行を追うのも自分だし、追いたくないっていう気持ちも私で。逆にこの気持ちにならなかったら、そのときの私が今の私になっていない。すべては「伏線を回収するためのプロセスだったんだ」ってすごく感じています。悩んでいるときはそのときが一番辛いけど、結局それが全部自分になる道だったんだと思ったら、悩むことすら楽しめると思うんです。例えば、「素朴な私がかわいい」って言われることもあれば、「派手にめっちゃ着飾ってる私がかわいい」って言われることもある。「私ってどっちなんだろう」って思っていたけど、結局どっちも自分。それは今回の写真集でも表されているのかなって思います。


――終盤には、グッと大人っぽいカットも収録されていますね。
村川 大人になりたい時期があったんです。黒をいっぱい着て、ヒールをいっぱい履いて、みたいな時期も私だったんです。結局すべてにおいて思うのは「私はファッションが好き」なんだということです。私にとって、表現する方法がファッションだったし、悩みとかも全部「道」だったなって思います。
――道中では、HKT48の卒業後、CANDY TUNEでの再デビューという大きな転機もありました。
村川 コロナ禍でエンタメが空っぽみたいになった時期もあって「本当にこの道で合ってるいのかな」って思ったこともありました。私はファッションが好きだったから、実はファッションの専門学校で学びたい考えもあったんです。でも、アイドルという職業にすごく生かされたし、成長できる職業だったので、なかなか離れられませんでした。結局、今はアイドルとしてもそのファッションを表現したり、作る側にもなれているので、よかったなって思います。
――目に見えない大変なこともたくさんあったと思います。悔しいとき、どうやって乗り越えてきましたか?
村川 今はすごくポジティブシンキングなんですけど、元はすごいネガティブなんです。「私なんか」って思っていた時期もいっぱいありました。辛いこととか、悩みとか、「なんで私ばっかり」って思う時期ってみんなあると思うんです。でも全部、与えてもらった壁だなと思っていて、それを乗り越えたら、今がレベル1だとしてもレベルが2になる。また次に「これは乗り越えられないぞ」っていう大きな壁が来て、「レベル2の私じゃ無理だ」と思ってもとにかく頑張る。それで例えば、試合に負けちゃったとしても、得るものがすごく大きくて、レベル2の私がレベル3.5になったりする。すべては自分が成長するための悩みや苦痛だったんだなって今になって思います。振り返れば成長した自分がいるから、辛いことがあっても全部乗り越えてこられました。
また、同じ“KAWAII LAB.”に所属するFRUITS ZIPPERの月足天音ちゃんとはHKT48時代から一緒で、下積み時代は劇場公演が終わった後に2人で300円のもつ鍋を食べて語り合っていたんです。それが今は、2人で東京で焼肉を食べられるようになって。今は「お互い頑張ったよね!」って言い合える。それってお互いに信頼があるから言えると思うんです。たくさんの壁を一緒に乗り越えて、今、一緒に食べられるご飯は本当に最高でお金じゃ買えないし、そのプロセスが焼肉よりおいしいんです!
――素晴らしい友達であり仲間ですね。グループでは「倍倍FIGHT!」が大ヒットして、昨年末は「NHK紅白歌合戦」に初出場。今年6月には、日本武道館で初の単独公演と快進撃が続いています。この人気をご自身ではどう感じていますか?
村川 思ってもみなかった、って言ったら普通かもしれないけど、本当に思っていませんでした。ただ、CANDY TUNEはメンバーが仲が良く、みんなでお泊まりしに行くくらい仲がいいんです。仲よくなってみんなで夢を見ているときって、絶対に負けない自信があったんです。どこまでも行ける気がして。2年目のあまりうまくいっていなかった時期にも「絶対に私たちなら上へ行ける」っていう自信があって、それが今につながっているなって思います。
――先ほど「私は王道アイドルのタイプではない」と話していましたが、CANDY TUNEの中でのご自身の立ち位置はどう見つけていったんですか?
村川 昔は「バラエティをやるならバラエティに全振りしなきゃいけない」って、0か100かの人間だったんです。でも最近は、アイドルをやりながらバラエティをやってもおかしくないなって思うし、多様性が認められる時代になって、事務所の人もすごく優しくて、自分らしく生きさせてくれるんです。私が暴れたいときはMCでいっぱい暴れさせてくれるメンバーがいて。メンバー間の信頼がどんどん厚くなって、楽屋で「こうしたらいいじゃん」って言い合ったことを本番に持っていったりもするので、見つけたというよりは、そうやって築き上がっていったのかなと思います。「私はこれがしたい」というよりは、みんなが作り上げてくれた感じです。
――最後に、アイドルや夢に憧れる方々へのメッセージをお願いします。
村川 私が本当に悩んでいたのは「世間に合わせたほうがいいのか。自分らしく生きていいのか。自分らしく生きるとしても、どこまでが許されるんだろう」っていうことでした。でも、自分の「好き」を守って、信じて、大事に育てていくことが結局、大切だったなってすごく思うんです。「それがここで役に立つの!?」っていう場面が、人生で本当にいっぱいありましたから。もちろん流行とか世間の目も大事にしたほうがいいし、TPOも学びつつ、でも絶対に曲げない。ファッションじゃなくてもいいんです。アートでも音楽でも、「自分はこれだけは絶対に好きなんだ」っていうものを信用してあげること。それだけは忘れないで生きてほしいなと思います。
Information

CANDY TUNE 村川緋杏1st写真集『the Bibian』(宝島社)
CANDY TUNEメンバー初となるソロ写真集。撮影地は沖縄。夕焼けビーチでの水着カットや寝起きのすっぴんカットなど、ステージとはひと味違う自然体の姿を約150点収録。衣装やスタイリングにも本人の個性を詰め込んだ、”私なりのkawaii”があふれる1冊。撮影は、峠雄三。
発売日:発売中
定価:3,850円(税込み)
公式サイト
INTERVIEWER:DAISUKE MATSUBARA,PHOTO:YUZO TOGE
