トウドウは面倒くさいけど可愛い人

――少数のスタッフで撮影を行ったそうですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

北澤 和やかでご飯がおいしかったです(笑)。現場の方がご飯を作ってくれて、みんなで囲んで食べたりして、そういう時間が良かったです。撮影はほとんど外で行い、道なき道を歩いていました。道なき道というか、ほぼ森なんです(笑)。「どうしても撮りたい木がある」と言う監督の指示に従って、茂みをかき分けながら、森の中に入っていきました。私は冒険みたいで楽しいと思いましたが、中島さんは「つらい」と仰っていました(笑)。

――他に印象に残っているシーンはありますか?

北澤 トウドウさんを食堂に無理やり連れ込んでご飯を一緒に食べるシーンですね。あそこは苦戦しました。

――なぜですか?

北澤 トウドウさんを食堂に引き留めることができなかったんです。監督に「それだと、トウドウさんが出て行っちゃうよ。無理やりでもいいから引き留めて」と、何度も何度も言われました。簡単なことなんですけどね(笑)。

――モモの心情として引き止められなかったのでしょうか?

北澤 今思い返すと、単純に止める力が弱かったんだと思います。まだモモになり切れていなかったのかも。苦戦したのは今でも悔やまれます。

――モモに共感する部分はありましたか?

北澤 真っ直ぐで、何度断られても食いついていくところかな(笑)。私も好きな人に対して全力でぶつかるほうなので、そういうところはすごく分かります。北澤響だから、こういうモモが演じられたのかもしれません。

――本作は、逃避行を描いた作品ですが、北澤さん自身の逃避の方法を教えてください。

北澤 何だろう(笑)。寝てスッキリすることかな。脳に情報を貯め込むと麻痺する感じがするので、TikTokとかを見て寝るようにしています。寝て起きたらスッキリして、その後引きずることはないです。

――トウドウみたいな男性をどう思いますか?

北澤 面倒くさいなって思いますが、そういうところが可愛いですね(笑)。好きになったらモモみたいに、心の隙間に入り込みたくなると思いますし、トウドウさんには、そういう魅力があると思います。そんなモモとトウドウの行く先を劇場で見届けてほしいですね。

――トウドウはかなりダメな男ですが、中島さんが演じているので魅力的ですよね。

北澤 すごく魅力的でした(笑)。

――歌を歌うシーンがありましたが、歌うことは好きですか?

北澤 カラオケにも数えるくらいしか行ったことがないくらい、人前で歌うのは好きではないのですが、撮影では普通に歌えました。

――海のシーンが印象的でしたが、いつ頃撮影されたのですか?

北澤 5月くらいですね。このシーンは最後の最後に撮ったんです。もともと海が好きなので撮影を楽しみにしていました。

――お酒に酔っているシーンがありましたが、お酒は普段から飲まれますか?

北澤 お酒は飲まないです。一杯で酔っ払っちゃうくらい弱いので、かえって「しっかりしなくちゃ」という意識が強く働いて、あんなにヘロヘロになることはないです。酔っ払っている友達の姿を真似して演じてみました(笑)。