他のキャストが「もっと振り切っていたらどうしよう」と不安もあった

――本作出演への思い入れは?

川上将大(以下、川上) 元々、プロデューサーの方とお話をさせていただいたときに「どういう役をやってみたい?」と聞かれて、強くアピールしたのが裏の顔を持つサイコパスの役柄だったんです。僕自身、ふだんは表裏を作れず素直に振る舞ってしまうから、その真逆で、二面性を持つ役柄に憧れていたんですよ。僕をきっかけにできた作品ではないですが、出演できたのは作品のテーマに上手くハマったからではないかと思っています。やりたい役柄をいただいて、うれしかったです。

――川上さんが演じる佐川は、作品の「猟奇性」を一番分かりやすく描いたキャラクターの印象でした。

川上 他の誰よりも、葛藤を持っている人物だと思いました。登場人物はそれぞれ裏の顔を持っていますけど、欲望に目覚めてからも彼は、自分の二面性に「納得しているのか」それとも「内心では嫌がりながら、制御できぬままそうなってしまうのか」と迷っているんです。ただ、登場人物の中で一番に猟奇的で狂っていると思って演じていました。

――実際、演じてみての手ごたえは?

川上 もう、反省点しかありません。映像で見たときに「もっとこうできたな」と思ったのが正直な感想です。撮影場所やスケジュールの関係で他のキャストの演技を見られなかったし、僕が一番振り切ってヤバい人物のはずなのに「みなさんがもっと振り切っていたらどうしよう」と、プレッシャーもありました。実際、完成した作品では他の方々の演技が素晴らしかったので、「もっとやるべきだった」と悔しくなって。でも、ファンのみなさんには新たな一面を見せられたのではないかと思っています。