もっと世の中に日本のアクションを知ってもらいたい
――まだまだ日本の映像業界では、スタントの方が脚光を浴びることが少ないのが現状かと思います。
伊澤 日本でも、スタントの役割や体制が少しずつ認識されるようになってきていると感じています。ただ、俳優部の次にスタントのクレジットが来るハリウッドの作品を観ると、複雑な思いもあります。十年以上、アクションの世界に身を置いて、心から尊敬できる先輩たちの背中を追ってきたので、もっと世の中に知ってもらいたいという気持ちが強いんですよね。

――世界的に日本のアクションは評価が高いですよね。
伊澤 そうなんです。日本のアクションならではの体の使い方や細かさが魅力的ですし、日本発祥の武道や文化が混ざっているものは特に人気があると思います。アニメの影響もあると思いますね。
――先ほど人前に出るのが苦手だったと仰っていましたが、この世界に入って克服できたんですか。
伊澤 写真を撮ったり撮られたりすることは学生の頃から好きだったんですが、映像のカメラに関しては、アクション部で仕事を重ねるうちに少しずつ慣れてきて、面白味も感じるようになっていきました。今はカメラの前に立って緊張することはなくなってきたんですが、イベントなどで人前に立つのはまだ緊張しますね。
――俳優としてもコンスタントに活動されていますが、アクションとの割合で意識していることはありますか。
伊澤 アクションで頼ってもらえることも多いので、今後もバランス良く両立できたらと思っています。どんな作品の、どんな役と出会えるかはご縁ですし、それでここまで来たので、ときめくほうに身を委ねていきたいという気持ちです。

――スタントは指名で来ることが多いんですか。
伊澤 そうですね。アクション監督の方が自分の作品に入る時にチームを組む形が多くて、俳優さんの背格好や話の内容を見てメンバーを編成するのが大半なんです。大きい事務所でしたら、その中でチームを組むこともありますが、フリーランスのスタントマンも多いので、どうやってアクション監督のチョイスにハマるかが重要なんです。だから、新しくアクションを始めるとしたら、いかに顔を売るかが大切で。SNSに自分の動きや得意なアクションを投稿するだけでも、「新しい子がいるな」と気づいてもらえることも多いと思います。
――海外で活躍されている日本人のアクション監督やスタントマンも多いですが、伊澤さんも海外進出は考えていますか。
伊澤 考えています。特にインド映画や韓国映画のアクションが大好きなので、すごく興味があります。単身で行くのは怖いですが、日本のアクションチームとして海外に行けたら心強いなと思います。実はインド映画から2回打診があったんですが、そのまま連絡が途絶えてしまったんですよね(笑)。
――最近観たアクション作品で、特に印象に残ったものを教えてください。
伊澤 韓国映画の『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』(25)です。目に焼きつくようなスタントカットが多くて、柔術の要素が多いんです。観たこともないようなシーンの連続で、長くて急な階段で投げ技を出して、転がりながらアクションする様や、水の中で滑りながらの柔術戦は本当に面白かったです。
