直美は人間味に溢れていて、生きることに貪欲な女性

――応募総数2410人のオーディションから、NHKの連続テレビ小説『風、薫る』(NHK)のダブル主演に決まったときの気持ちからお聞かせください。

上坂樹里(以下、上坂) このお仕事を始めてから、一番の夢が朝ドラ出演でした。ただ主人公とは考えてもいなかったので、最初に決まったと聞いたときは信じられませんでした。オーディションの手応えも自分の中では全くなくて、むしろ最終オーディションが終わった後に、すごく悔しかったのを覚えています。なので余計に、主人公だと知ったときは驚きが大きかったです。

――ご家族の喜びも大きかったでしょうね。

上坂 会見が終わって帰宅したときに、改めて家族に報告して、いろんな話をしながら「おめでとう」とお祝いしてもらいました。

――初めて一緒にダブル主演を務める見上愛さんとお話したのはいつですか。

上坂 昨年6月3日の会見前にご挨拶したんですが、太陽みたいな女性で。もともと私は積極的に話しかけられるタイプではないですし、とても緊張していたのですが、見上さんからたくさん話しかけてくださったので、うれしかったです。

――最初に渡された脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。

上坂 ト書きで東京の街を歩く直美(上坂)が描かれていて、「ここから始まるんだ」と胸が高鳴りました。序盤は直美とりん(見上)、それぞれの人生が描かれているので、「二人はどうやって出会うんだろう」というワクワク感に包まれました。

――直美は物語の中でかなりの年月を生きていきますが、年齢を重ねていく表現は最初から意識していましたか。

上坂 正直、そこまで最初は意識していなかったんです。でも回を重ねていくと、直美が自分の実年齢よりも年上になっていきますし、劇的に何かが変わるのではなく、日々の積み重ねで少しずつ変わっていくものなので、その小さな移り変わりをどう表現するかは、すごく悩みました。

――直美は生後間もなく母親に捨てられ、牧師に育てられたという出自がありますが、どんな人物ととらえましたか。

上坂 人間味に溢れていて、生きることに貪欲な女性だなと思いました。ずるがしこさがあったり、時には嘘をついたりもしますが、それは生きるための強さであり、信念を持って突き進んでいるんです。

――序盤で直美は、ほとんど笑顔を見せることがありません。

上坂 ずっと眉間にしわが寄っていて、梅岡看護婦養成所に入った直後も、すぐに敵を作って相手を睨んでしまう。そういう表情をすることが多かったですね。そのため、クランクイン前に色々な稽古が始まったタイミングで、制作統括の方から「今日イライラしたことを教えて」と聞かれるんです(笑)。それを思い出して表情や気持ちを作っていったんですが、普段の私とは真逆のキャラクターだったので、大きな挑戦でしたし、たくさんのエネルギーを使いました。